【podcastingとは?】
podcating(ポッドキャスティング,あるいはポッドキャスト)って何ですか? というメッセージをいただきました。説明しましょう。「ネットラジオの進化形」とか,「いつでもどこでも聞けるネットラジオ」など,さまざまな言われ方をしますが,とりあえずまじめに定義してみると……。
音声によるメッセージをサーバに保存し,それを希望者に自動的に配信するしくみ。
うーむ。定義するのは難しい。
このshiologyのようなblogは,メッセージを文字に書いてサーバに保存し,それを不特定多数の人が閲覧します。その際,blogの作成者が新しいエントリー(blogのひとつひとつの記事をこう呼びます)を掲載すると,そのエントリーの概要がRSS(RSSについてはWikipediaあたりを参照してください)という書式にのっとって自動的に発信されます。そのblogを閲覧する人は,そのRSSを受信できるように自分のコンピュータで設定することによって,新たなエントリーが掲載されるたびに自動的にそれを読めるようになるのです。そこがblogのスバラしいところのひとつです。
このRSSのしくみを音声ファイルに応用したのがPodcasting。
つまり,メッセージを文字ではなく音声(声でも音楽でもなんでも)によって伝えようとする人がそのファイルをサーバに公開すると自動的にRSSが発信されるしくみです。そのpodcastingを聞きたい人は,発信されるRSSを自動的に受信するようコンピュータに設定することによって,新しい音声ファイルが公開されたらそれを自動的に受信して,自分のコンピュータで聞くことができるのです。さらに,コンピュータからiPodなどのデジタル・オーディオ・プレーヤーにも移して聞くことができます。
このように,音声ファイルに関するRSSを自動的に受信してそのファイルを取得し,内容を聞くためのソフトこそ,iTunesなのです。iTunes以外にもそれができるソフトはたくさんありますが,「podcasting」の語源が「iPod」にあるため,iPod用に作られたiTunesをその典型と考えて差し支えないと思います。
従来,ラジオやテレビといった放送というものは,発信する側が一方的に配信時間や場所を規定して放送していました。しかし,本来,著作物はそれを見たい人,聞きたい人が,見たいとき,聞きたいときに自らアクセスして鑑賞するもの。FMをエアチェックしたり,テレビ番組を録画することによって,異なる時間,異なる場所で視聴することができるようになったのは,当然の流れです。しかし,放送は依然として配信側が配信時間(録画しそびれたらもう見られない)や場所(電波の届く範囲でのみ受信可能)を決めるものであることにかわりはありません。
podcastingはその概念を覆しました。
受信する側が欲するときに欲する場所で音声メッセージを受け取り好きなときに好きな場所で聞くことができる,という利便性を発信者側が意図して発信する形態なのです。
また,放送をしようとすると,大掛かりな設備や免許など,さまざまな条件をクリアする必要があります。当然,資本も必要。したがって,「放送」を行うことができるのは一部のごく限られた人々だけです。しかし,blogと同様podcastingは,コンピュータ1台とネットワーク環境さえあれば,だれでも実行できます。非常に民主的な情報発信手段です。
当然,多くの人がpodcastingを始めれば,「チャンネル」は無限に増えますから,聴取者の選択肢も無限に広がり,既存のラジオ局数局しか聞けない状況とは全く違うバラエティーに富んだ内容を聞くことができるのです。
文字によるblogによって,文字によるメッセージの発信が市民の手にもたらされました。
音声によるpodcastingによって,音声によるメッセージの発信が市民の手にもたらされました。
近々,映像による???によって,映像によるメッセージの発信が市民の手にもたらされるでしょう。
podcastingはそのような社会的意味を持っているのです。
さて,このようにメッセージ発信の機会が多くの市民のものとなった現在,大切なのは,「どんなメッセージをどのように発信するか」です。メッセージのない表現は空虚です。だから,冒頭でもあえて「メッセージを……」と定義しています。
shioゼミのみんな。
メッセージを持てる人になろう。
そのメッセージを表現できる人になろう。
相手によって,より伝わりやすい表現方法を選べる人になろう。
相手のメッセージを的確にとらえられる人になろう。
そのためには,
どんどん自分を表現して,表現して,表現して。
それを友人たちとshareしあって。
お互いにappreciateしあって。
表現の内容と,表現の様式を磨いて。
多様な表現形態を身につけて。
自分の価値観の軸を立てて。
自己を確立して。
そんな人になろうぜ。
なお,現在発売中の月刊アスキー10月号に掲載されているshioの連載「法律家が見るIT業界」第36回には,「コンテンツ視聴の主導権」と題して,podcasting隆盛にもふれておりますので,ご興味があればご覧ください。また,RSSについては,同じ連載の2003年12月号「ニューズリーダーと新聞の未来」で触れております。articlesに連載のバックナンバーを置いてあります。
【HPのプリンタが……】
shioが17年来愛用するHPのプリンタが,新たな製品ラインナップを発表しました。しかしその発表を見てshioは愕然。なんと,黒インクが染料インクになってしまったのです。HP自身のサイトにはなぜか記述が見つけられなかったので,たとえばこちらの記事をご参照ください日本ヒューレット・パッカード、世界最速のフォト印刷スピードを実現したオールインワン・フォトプリンタなど10機種発売。HPさん,非常に重要な変更なので,サイトの見やすい場所に「このプリンタの黒インクは染料インクです」という表示をしていただきたいと思います。
それぞれの機種のページはこちら。
Photosmart 3310
Photosmart 3210
Photosmart 8230
shioはいままで17年間,HPのプリンタを愛用してきました。キヤノンもエプソンも買って使ってみたけれど,日常的なプリントはすべてHP。shioゼミの学生にHPを勧めてきた。その最大の理由は黒インクが顔料だから(キヤノンも黒は顔料だけどHPの方が色が濃いのでshioはHPが好きです)。黒インクが顔料なので,にじみのないクリアな印刷でドキュメントを作ることができる。さらにカラーインクは染料インクでありながら普通紙(単なるコピー用紙など)にフルカラーで印刷しても,にじまず裏映りもしないきれいな仕上がり。そして写真を印刷するときには黒インクを染料インクのフォトインクカートリッジに変更することによって染料6色印刷ができる。他社製にない1台2役のプリント環境でした。だけどそのメリットがなくなってしまいました。
shioは研究室にはレーザープリンタも持っているけれど,ほとんど使わず,もっぱらHPのインクジェットプリンタばかりを使っています。顔料インクで黒々と濃いブラックで「印刷」される。レーザープリンタはトナーだから「コピー」と同等品質。自分が作成する「オリジナル」なドキュメントは,やはりインクで黒々と「印刷」したい。だからHPのインクジェット。
救いは,HPのHP Officejet Pro K550のようなビジネスプリンタの方はまだ顔料インクを使っている点。これからはドキュメント印刷用にHP製を買うならこちらを選択することになります。
つまり今回HPは,従来のようなドキュメント印刷はビジネスプリンタ群でまかない,写真印刷は今回発表された6色染料インクのプリンタラインナップで,という使い分けを提案してきたのでしょう。言い方を変えると,従来のドキュメント印刷の役割はビジネスプリンタに継承し,新たに,写真印刷用に最適化されたプリンタ群を投入してきたということかもしれません。
写真プリントにもプリンタをがんがん使っているshioですから,新しいプリンタで印刷した写真を早く見てみたいです。
【羽毛布団購入】
日本での予想と違って寒いPalo Alto。
やはり羽毛布団が恋しい。今日, IKEA に行って,羽毛布団を買ってきました。75%ダウン,25%フェザーでqueen sizeで99.99ドル。布団カバーとピロケース2枚のセットが49.99ドル。トータル16,000円程度でそろいました。これで幸せな夜を過ごせます。
【dinner】
今日はshioが炒飯を作りました。それ以外はもちろん外村さん作。
Ling Codのこぶ締め。昆布は、分とく山(わけとくやま)の野崎料理長からわけてもらったものだそうです。