4040-150522 shioの授業は「万年筆推奨」
shioの教室では、学生たちがたくさん書きます。書いて、書いて、口でしゃべって、また書いて。その繰り返し。
「考えることは書くこと、書くことは考えること」です。カントが「手は体の外に出た脳である」と言わなかったとしても、「書いて考える」ことが大切。
書けば自分の頭の中の思考が言語化され、表に出て、客観化される。それを目で見ることによって、「数秒過去の自分」という「他者」の見解から「今の自分」がフィードバックを得る。それによって思考が進む。
だから書くことが大切。
そのため、shioの授業ではいわゆる「レジュメ」という紙の配布は一切ありません。すべて学生たちが自分でノートを書く。「書いて考える」という思考プロセスを実践して欲しいから。
shioが慶應義塾大学の経済学部、法学部、そして大学院に在籍した12年間に「レジュメ」というものが配布された経験はありません。Stanford Law SchoolでVisiting Scholar(客員研究員)をしていた2年間にもありません。
だから学生たちが「レジュメ漬け」になっている現状は不思議で仕方ない。「レジュメ」に書いてあるような重要な内容こそ、学生たちが自分の手でノートに記し、その書く行為によって思考し、理解につなげ、記憶を確かなものとする。それが次のステップへの興味や疑問につながっていく。
ノートを書く際の筆記具には「ペン書き」、それも「万年筆書き」を推奨しています。
ペン書きを勧める本質的理由は「消せない」から。鉛筆で書くと簡単に消せる。コンピュータで書いても簡単に消せる。でも思考とは1本の線。1本の道筋。だから思考の足跡を残す。消さない。
社会で提出する手書き書類はペン書き。内容が改ざんされないように消せない筆記具で書く。書いた内容には責任が伴う。だから就職活動でもペン書き。就活の段になって初めてペンをとり、慣れないペンで書類を書いて難儀するよりも、普段からペンを使うことでその扱いに慣れて、ペンで書くことが「普通」なことになる方がいい。
万年筆で書くと、筆跡が上手く見える。インクの濃淡が自然に出るから、下手な字も「味」になる。文字で損をしにくくなり、ともすると見栄えが良くなって得をするかもしれない。
万年筆は筆圧ゼロで書ける。だから筆圧をかけずに書くという書き方に習熟すれば、長時間書き続けられる。そこが筆圧を要するシャープペンシルやボールペンとの大きな相違。疲労も小さいし、腱鞘炎になるリスクも少ない。楽に書き続けることができるすばらしい筆記具。
スキャンしたときにくっきり写るのもメリット。学生たちからの提出物はすべてScanSnapでスキャンしています。スキャンしたPDFは自動的にEvernoteに送られ、iPad上のMetaMoJi Noteで開いてコメントを書き込んだり、授業出使う板書に張り込んで投影するから、くっきり見えるのは重要なポイント。
そのような理由で、ペン書き、とくに万年筆書きを推奨しております。