Education

2016.06.26

4435-160620 授業の始め方

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2つ前の記事で、オピニオンペーパーの返却方法について書きました。

授業の15分から10分前に教室の最後列に、ペーパーを並べて置くだけ(学生たちが自分で見つけて持って行きます)。

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そのあとshioは教室の前方に行き、AV機器の電源を入れ、スクリーンを下ろし、AVセレクタで教室備え付けの「AppleTV 」を選択。AppleTVの画面が表示されたら、持参したiPad ProのAirPlayからその教室のAppleTVを選んでミラーリングをON。iPad Proの画面が(ワイヤレスで)スクリーンに映し出されます。

「デジタル黒板」として使っている「MetaMoJi Note」を開き、当該授業の板書ファイルを開いて準備完了。

1限だと、この時点だいたい8:50から8:55くらい。あとは、入ってくる学生たちに挨拶したり雑談したり。座席は前から埋まっていくので、すでに前から5列くらいはほぼ満席。前の席を確保したい学生は8:30前から教室に来ています。徐々に後ろの方まで学生が座る。

そして授業開始時刻(1限なら9:00)。教室の前方中央に立つ。学生たちの机があるフロアに立つ。教壇には登らない。学生たちと同じ高さのフロア、最前列の座席の真ん前。学生と最も近い距離。

教壇という高い壇上から学生たちを見下ろして話をするのではなく、学生たちと同じ高さのフロアで対等に対話したいから。

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そこに立ち、黙ったまま、にっこり笑って教室内の学生たちを見回します。

すると、1年生の場合は、ほぼ同時に静寂が訪れる。全体(100名近く)が完全に静か。そこで頭を下げて「おはようございます」。学生たちと目を合わせにっこり笑って授業の幕開け。

2年生の「民法2」だと、shioが前に立ったら、前から5列くらいはすぐに静かになる。しかし、教室の後ろ1/3くらいはなかなか静まらない。全員(200名以上)が完全に静かになるのに2分くらいかかりますが、黙って待つ。黙って静かに座っている学生たちと次々に目を合わせ、にっこり笑いあいながら、待つ。

やがて全員が静かになったら、「おはようございます」。挨拶して、楽しく授業を始めます。

そのあと90分、または180分。shioの授業で私語で困るなどという経験は皆無。shioが話している時は全員静かだし、発言を求めれば複数の挙手。バディで検討する時間は話し合って面白く検討するし、書く時間は黙って(内容によってはバディで話し合いつつ)書く。

学生みんな、授業を楽しんでいるから、常に超協力的です。みんな、いつもありがとう!!

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2016.06.24

4434-160619 リーダーってどんな人

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8月に1週間実施する「第21回野尻小学生キャンプ」のために、毎週1〜2回、ボランティアの大学生(キャンプリーダー。略してリーダー)たちが集まって、いろいろなトレイニングをします。その一つとして、「リーダーってどんな人?」というテーマで議論しました。

リーダーたちから、たくさんの要素が出されました。shioの考えも書いておきます。

  1. 率先垂範:そっせんすいはん。誰よりも先に率先して行動する。その姿を見たメンバーたちが真似したくなるように、楽しく、面白く、丁寧に。何かすべきことがあったら、指示するのではなく、基本は「Let’s」。自分がやりながら、「一緒にこれやろう。楽しいよ。」と呼びかけて、一緒にやる人。
  2. 同じ目の高さ(対等):いつもメンバーたちと対等。特に小学校低学年のメンバーと話すときは、しゃがんでメンバーと同じ目の高さで聞く、話す人。
  3. メンバーのありのままを肯定する:メンバー一人一人がそれぞれありのままで「素晴らしい」と、感じ、伝え、褒める。ありのままを肯定できる人。

以前「MacPeople」誌に連載した「大公開時代の羅針盤」で、「肯定力」についてのコラムを書いております。リンクを置いておきますので、ご参考まで。

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2016.06.22

4433-160618 授業開始時のオピニオンペーパーの返却方法

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shioが担当するすべての授業で学生が提出する「オピニオンペーパー」。その返却方法がFD委員会で話題になりました。

学生たちは「オピニオンペーパー」に主として3つの内容を記述します。

  1. 〈本日の発言回数〉+〈前回までの発言回数のトータル〉=〈本日までの発言回数のトータル〉という式
  2. 授業中にshioが「ではこれを書いてみよう」と言ったり、授業の最後に出した「Question」に対する学生自身の考え
  3. shioに対するメッセージ、質問、意見など、なんでも好きなこと

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提出するときは、教卓に2つの受け皿を作ります。

  1. 本日1回以上発言した人
  2. 本日発言ゼロ回の人

発言回数は集計しているため、本日の発言回数が1以上の人だけ分けたいから。

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授業後1週間のうちに、shioが行う作業。

  1. すべてを読んで、コメントとサインをする。
  2. ただし、クラス全員に対して返答、解説した方がいい質問などには、「→次回!!」とだけ書き、他の束とは分けておく。
  3. すべてをPFU「ScanSnap iX500」でスキャン→自動的にPDFがEvernoteに保存される。
  4. 「→次回!!」と書いたものだけ、PFU「ScanSnap Evernote Edition」でスキャン→自動的にPDFがEvernoteに保存される。
  5. 4.で保存されたPDFをiPad Proで開き、質問部分をクロップして、板書に使っているMetaMoJi Noteに貼り付ける。

これでshioの「授業の準備」はすべて終了。授業の内容は、教室に行って、学生たちと対話しながら作り進めていきますので、予め準備することは何もありません。あ、iPad Proの充電もします。

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さて授業の当日。shioが教室に持参するもの。

  • 法令集(六法)
  • iPad Pro
  • Apple Pencil
  • 返却するオピニオンペーパー
  • 白紙のオピニオンペーパー用紙(成蹊大学の横罫線入りA4縦型)
  • カメラ(契約の実演用)

授業開始の15分前、ないし遅くとも10分前に教室に着いたら、まず、持参したオピニオンペーパーの返却。教室の最後部の座席に並べます。並べると言ってもどさっと置いて、マジックのトランプよろしく扇のように広げるだけ。あとは学生たちが自分のペーパーを見つけて持って行きます。

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2000年4月、成蹊大学に着任して初めての授業「民法3」の第2回、第1回で提出された500枚以上のオピニオンペーパーを返却するとき、すべて名前を呼んで一人一人手渡しました。遠大な時間がかかりました。それ以来、名前を呼んで返却する方式は行っていません。不可能です。あまりにも時間がかかりすぎる。その授業の第3回以降は、すべて、教室の最後尾の座席にドサッ、ズラッと置いて、学生たちに持って帰っていただいています。

それで全く問題なし。学生たちも、自分のペーパーが目立つように蛍光ペンで色をつけるなど工夫をするようになります。その後16年、shioが担当するすべての授業でこの方式でオピニオンペーパーを返却しています。今後もこのようにする予定です。

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2016.06.18

4430-160615 社会科学系の学生が大学で身につける究極のスキルは

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shioゼミは文章を書く機会が多いです。そしてそれをお互いに添削し合います。

例えば今週の1年生のゼミ。 先週のゼミで出た課題は「刑法200条が削除されるきっかけとなった事例の地裁、高裁、最高裁の判決文を読んで、1.事実関係を時系列で把握し、2.判決のロジックを教えてください」。

学生たちは5名ずつ3つの班ごとに、図書館で『最高裁判所刑事判例集』の該当号を探し出してコピーし、さらに判例データベースで原文をダウンロードし、読む。各班が上記の課題をまとめたPDF書類をサイボウズLiveに共有して今週のゼミへ。

shioがゼミの教室に行ってゼミ開始。みんなに課題を検討した感想を聞いた後、「今日は書いてみようか」とA4の回答用紙を配布(書くとは全く予告していない)。

1枚目に書くのは事実関係。ストーリーを書く。裏まで埋まるほど書いてもまだ書き足りないという学生もいるほど、みんなよく書く。

全員、書き終わったら、回答用紙を5人右の人に送って(つまり別の班のメンバーまで回して)、赤ペンで添削とコメント。書き終わったらさらに5人右の人まで送って(つまりもう一つの班のメンバーまで回して)、今度は青ペン(あるいは赤以外のペン)で添削とコメント。最後に本人まで戻す。

コメントは、「いいところ」と「ここをこう変えたらもっと良くなる」というポイントについて書く。

次に新しい用紙を配布して、今度は最高裁判所のロジックを書く。書き終わったらまた用紙を回して、前回とは別の2人が添削、コメント。本人に戻す。

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これで自分が理解できているところ、把握できないないところが一目瞭然。

shioは一言、「次回までにやってくることはわかったよね」。みんな深く頷く。

次週までの1週間、班ごとに適宜サブゼミを開いて「教えあい」。事実とロジックを説明できるように相互に訓練してくることでしょう。今回の回答は回収してshioも読み、必要があればコメントし、スキャンして次週に返却します。次週のゼミではもう一度、事実とロジックを書く予定であることは伝えました。

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なぜこのような「書く」訓練をするか。

美術大学の学生は卒業する時、油絵、彫刻、アプリなどの作品を創作できるはず。音楽大学の学生は卒業する時、音楽表現ができるはず。建築学部の学生は卒業する時、建築物を設計なり構築なりできるはず。理工学部の学生は卒業する時、物質を化学合成できるとか、内燃機関を設計できるとか、プログラムを組めるとかのはず。

つまり、大学を卒業したら、何か新たな付加価値のあるものを創り出すスキルを身につけていることが期待される。そのために日常的に繰り返し繰り返し、絵を描く、彫刻を彫る、コード(プログラム)を書く、作曲する、設計図を描く、模型を作る‥‥。「形にする」のだ。何度も何度も、「形にする作業」を繰り返すのだ。

机上の空論に価値はない。知識の堆積に価値はない。実際に成果物を創り出し、付加価値を生み出せるスキルが求められる。

社会科学系の学部を卒業した学生にはどんな付加価値を生み出し、「形にする」スキルを期待できるだろうか。統計をとって分析できるとか、経済予測できるとか、簿記をつけられるとか、事案を法律構成し法適用できるとか。いろいろあるけれど、どの分野であっても、最終的にはそれを文章で表現することが求められる。

すなわち社会科学系学部の卒業生は、分野に応じた的確な文章を書く能力を身につけていることが期待されるのです。文章によって「形にする」のです。メイル、企画書から論文まで、状況、相手、内容に応じて柔軟に、適切で付加価値のある文章を。

だから日常的に書く。書く。書く。いろんな文章を書く。書いて「形にする」。書く訓練こそ、大学4年間の文系学生の日々。日本語で、他言語で。

文章を繰り返し書くことによって、文章力を磨く。書く力を身につける。文章という形にする。これがshioゼミの重要な目的です。

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2016.06.12

4424-160609 ミネルヴァ大学を知って日本の大学教員も変わろうよ

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2014年にサンフランシスコで開学したミネルヴァ大学。その日本事務局長さんにお話を伺いました。

この大学、魅力的です。世界中から優秀な学生が集まる。合格したスタンフォード大学を蹴ってミネルヴァ大学に入学した学生が今年は3人いるとのこと。入試はオンラインで受けられるので、日本の高校生、日本の大学生、どんどんトライしてほしい。

1学年150名が、全員寮生活。授業は15名程度で、みんな同じ場所に集まっているのにヘッドセットをつけて画面を通して話す。すべての発言が自動的にトランスクリプト(文字起こし)されて分析され、各人の発言時間を計測するため。

いわゆる「オンライン大学」とは「オンライン」の意味が全く異なる。目の前にいて、普通にしゃべれる状況にあるのに、記録、評価システムのためにITを使っている。

授業中、学生ごとに発言の多寡が一目瞭然。教員の画面上には、発言の多い学生が緑、発言の少ない学生が赤く表示される。教員は発言の少ない学生に発言の機会を与えることができる。

それは教員側も同じ。教員の発言が多すぎると、自動的に教員の発言にストップがかかる。素晴らしい。だから教員は教室にいる必要がない。むしろ、直接学生と喋ってしまえないように離れた場所にいてオンラインだけでやりとりするシステムの方がいい。

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教室は学生がトレイニングする場所、学生が思考し、発言する場所なのだから、教員が喋っている時間に制限をかけるという仕組みは望ましい。

これ、日本の高校生、大学生に是非トライしてほしい。米国の著名大学と比べて、学費は格段に安い。

そして日本の大学教育は、このような教育手法が実際に行われているということを知って、大胆に変革することが必要。教員が一方的に話し続ける20世紀型の「講義」をダラダラとやっている場合ではない(21世紀、「講義」なら教員が録画してYouTubeにでも置いておけばいい)。

いかに学生が考えるきっかけを与えるか。いかに学生からアイディアを引き出すか。いかに学生がそれを言いたくなるような教室の雰囲気を作るか。いかにその発言を肯定するか。

それらが、教員に求められる資質。知識という過去を教える(ないし押し付ける)「講義」からすぐにでも脱却すべき。

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ミネルヴァ大学の第1学年で教える3つのこと。

  1. クリティカル・シンキング
  2. クリエイティブ・シンキング
  3. エフェクティヴ・コミュニケーション

そうありたい。

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2016.04.18

4363-160409 島田会女子会で語った「教育におけるIT活用」と公刊されている原稿2本

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慶應義塾大学経済学部在学中に所属していた島田晴雄ゼミのOB会「島田会」。4月9日、その「女子会」にお招きいただきました。shioは島田ゼミ15期なので、ちょうどOBの年齢構成の真ん中。当日も、上下20年以上にわたる世代にご参加いただきました。

島田晴雄先生と女子会メンバー以外を講演者に呼ぶのは初めてという栄誉。ご依頼に従い「教育におけるIT活用」について語りました。

教育とは何か、そのためにITがどのように生きるか、という複線的なテーマ。実際の授業で使っている画面と実例をご覧に入れながら、shioの授業の様子を交えつつお話いたしました。講演中も終了後もさまざまなご質問をいただき、ありがたい。大学教員をなさっている方々もいらしていたので、実践的なご質問もあって議論が深化いたしました。みなさまに興味を持っていただけて、本当にうれしいです。

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昨年と一昨年に、教育とITに関してshioが書いたものを2点、ご紹介いたします。ご笑覧いただければ幸いです。

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2015.09.16

4144-150903 マネする教育、マネない教育〈写真はdp1 Quattro〉

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2種類の教育があります。「マネする教育」と「マネない教育」。

「マネする教育」が手段、「マネない教育」が目的。大学は両方を行う教育機関です。

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何事も始まりはマネ。それを指導者とともに行うのが「マネする教育」。親、教員、コーチ、書物、先人の作品といった「お手本」をマネして、その技術に習熟する過程です。親の話し方、食べ方、指導者がやってみせる計算方法、泳ぎ方、楽器の演奏法、柔道の投げ技、習字の運筆、絵画、映像作品、撮影技法など。人は、マネによって技術やスキルを獲得していきますから、それを指導者の導きによって行うのが「マネする教育」です。

それによって「マネする手法」を身につけます。誰かから直接教わらない事柄でも自分で何らかのお手本をマネして、その技術を会得できるようになります。

shioの授業では、学生たちが「マネする」時間がたくさんあります。法解釈、法適用のお手本をマネする訓練を繰り返すことによって、法解釈、法適用のスキルを身につけていくためです。教室は「マネする教育」を実践する場所なのです。旧態依然とした「一方通行の講義」は学生たちがマネする機会を設けておらず、単なる情報伝達に過ぎません。

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教育の目的は学生たちの独り立ち。お手本なしで、お手本が存在しない内容を、独力で実現、表現できるようになること。各種お手本からの独立です。身につけた技術を使って、お手本なしで自己表現する。個々人が自分らしく活動し、表現し、楽しく生きること。いわば、お手本からの「親ばなれ」です。

お手本からの独立とは、その人らしさ、つまり「オリジナル」を磨くこと。他人と違う価値を生み出していくこと。そのためには、お手本を「マネない手法」が必要です。

その訓練を行うのが「マネない教育」。指導者は「ここであなたならどうする?」「どう書く?」「どう言う?」「どう描く?」「どう作る?」「どう考える?」を問い続けて、その人の内面にあるポテンシャルを引き出していく。educationの「educe」=「引き出す」を実践する過程。

その人らしさを引き出す教育、「マネない教育」こそ、教育の本質です。そこに「正解」はない。「正解」の押し付けをしてはいけない。指導者、教員はそれを肝に銘じることが大切です。

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その人のオリジナルを表現できるように引き出していくのが「マネない教育」です。「マネない教育」には手間と時間がかかります。文系の学部ではそれを実践するのがゼミ。約20名以下の少人数で、個々の学生が自分らしいオリジナルな活動や表現ができるように訓練していく。多様性を尊重し、各学生が周囲とことなる解を出せるように導きます。

「マネない教育」の過程で「マネない手法」が身についていきます。何もお手本とせず、独力で自分らしい表現をする手法を会得していく。その表現過程では「マネする教育」によって身につけたスキルや表現手法を用いていい。でも表現内容はオリジナルであることが必須。表現内容だけでなく、表現手法もオリジナルならなお素晴らしい。

「マネない手法」が身についてオリジナルな表現ができるようになったら、ようやく一人前。独立できます。仕事できます。その仕事で人様からお金をいただけます。

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守・破・離。

それが教育のプロセス。「マネする教育」が守から破まで、「マネない教育」が破から離へ、それぞれ導きます。

「マネする教育」だけを受けて「マネない教育」を受ける機会がないまま社会に出た人は、社会で「マネない教育」をしてくれる指導者に出会うか、自分で自覚的に「マネない手法」を身につけることが必要です。しかしそれは独力ではなかなか難しい。もし「マネない手法」を身につけることなく「マネする手法」だけで大きな仕事をしてしまったら大変なことになるでしょう。

著作権法は、「マネする手法」(教育関連では35条、30条、38条など)と「マネない手法」(21条〜28条など)の両方を円滑に行える社会の秩序を形成する基本ルール。みんな違ってみんないい。「多様性」こそ、著作権制度が最も尊重する価値観です。

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2015.07.22

4095-150716 成果を上げる「つぶやき学習法」と「エア講義」〈写真はdp1 Quattro〉

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学部の学生にもロースクールなどの大学院生にも以前から勧めている学習方法。それは「つぶやき学習法」と「エア講義」。以前は「独講(どっこう)」と呼んでいましたが、最近の感覚だと「エア◯◯」の方がわかりやすそうだから、「エア講義」に改称。

ベストな学習法は「他人に教えること」です。何かを身につけるためには3ステップ必要。

  1. See one,
  2. Do one,
  3. and Teach one.

まず上手な人が行っている「お手本」を「観察する」。次に自分で「やってみる」。そして最後に「他人に教える」。この3ステップによって、スキルが自分のものになります。「身につく」のです。

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shioは授業時間中に学生たちがこの3ステップを実践できるように授業を組み立てています。教室でいかに学生たちが「Teach one」する時間を確保するか。それが授業の面白さにつながります。

ゼミなら当然、ほぼすべての時間が学生たちの「Teach one」。shioが喋る時間はほとんどありません。学生たちの議論が膠着したり、隘路に撞着して助け舟を出すとき、そして学生たちがゼミとして結論を出したときに「本当にそれでいいのか」と問うたり、最終的にshioの考え方を論じたりするときだけ。毎回、2〜3時間に及ぶゼミのほとんどの時間は、学生たちが「この制度はこういう仕組みである」「自分はこう考える」といったことを述べる時間、すなわち「Teach one」の時間です。

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そこで大切なのは、学生たちが自学自習するときの手法。一人で学習するときこそ、「Teach one」することが必要です。

  1. 「教える」ことを目的に学習する。「覚える」とか「理解する」ことを目的とするのではない。それらは手段。目的はあくまでも「教える」こと。教えるために情報を仕入れる。
  2. 「教える」ことが目的ですから、学習中はたくさん「喋る」。一人で「つぶやく」。黙々と「読む」のではなく、読んだ内容をしゃべる、つぶやく。声に出して著者と対話しながらページを進める。「つぶやき学習法」です。
  3. 学習したら、友人、親、兄弟姉妹といった周囲の人々に対して実際に話して教えます。
  4. 学習した内容を教える相手がいなくても大丈夫。ぬいぐるみ、好きなタレントのポスター、おもちゃのロボット、好きな人の写真、壁、その他、なんでもいい。好きな相手に向かって一人で講義します。それが「エア講義」。素敵なTeach oneです。
  5. 実際に教えてみると、「覚えよう」として学習するより、「教えよう」として学習する方が、はるかに身についていることを実感するはず。そして、実際に教えることによってより深く理解でき、わかっていない内容は何がどのようにわかっていないか明らかになります。
  6. わかっていなかった部分を再度、掘り下げて理解を深める。
  7. また教える。
  8. その繰り返しです。

「つぶやき学習法」と「エア講義」で期末試験を乗り切って、夏休みを楽しんでくださいね^^

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2015.07.09

4080-150701 デジタル教科書で通学を手ぶらに〈写真はiPhone 6 Plus〉

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小学生の通学を手ぶらにしたい。重く膨らんだランドセルを背負った小柄な小学生を見るたび、その思いを強めます。

shio自身、現在、ほとんど手ぶらか手ぶら+1アイテムで移動しています。本当に身軽で快適です。

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shioが通った小学校は、基本的に荷物を家に持ち帰らない方式でした。なんでも教室のロッカーに置いて帰る。ランドセルは背負っていますが、いつもペチャンコ。宿題以外、ほとんど何も入っていません。だからクラス全員、いわゆる「忘れ物」というのもあまりない。(そういえばその小学校には各教室に、出席番号が付番された新明解国語辞典が人数分常備されていて、自分の番号の1冊を自由に使える。あれもよかった)

shioが小学生だった40年前でもそれができたのですから、いまだってできるはず。

学校で使う道具は基本的に、教室のロッカーに置いて帰ればいい。ロッカー(英語ではカビー(Cubby)と呼ばれます)に、教科書、ノートをはじめとして、絵の具、習字道具、笛……、すべて置いてくればいい。もしいたずらがあるようなら、鍵のかかるロッカーにすればいい。

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そしていまなら、教科書をすべてデジタル化できる。iPadで読み書きする。教室と自宅にiPadがあれば、すべて常時同期されますから、教科書もiPadも持ち歩く必要なし。

iPadに表示して読むだけでなく、日本語も外国語も、iPadが読み上げてくれる。それだけでもiPadを使う価値がある。

MetaMoJi Noteのように書き込み可能なアプリでデジタル教科書を開く環境なら、紙の教科書とほとんど使い勝手は変わらないでしょう。好きなだけ書き込んだり、線を引いたり、挿絵にいたずら書きしたり、できます。

小学生の通学を手ぶらにしたい。「教室保管」と「持ち帰り最少化」によって、「忘れ物」も減らせます。

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2015.06.08

4048-150530 Apple Watchで実感する「計測は力なり」

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Apple Watch(以下「 Watch」)を使って1か月以上。「計測は力なり」を実感しています。

世に「継続は力なり」と云うけれど、そんなことはみんな知ってる。継続すればたいがい上手くなることくらい、誰でも経験的にわかっている。でも人は継続できなくて悩むのです。継続したいのに三日坊主。続かない。

どうしたら継続できるのか。どうやったら続くのか。継続する「チカラ」の源はどこにあるのか。そこがキーポイント。

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 Watchを使うようになって、そのひとつが「計測」にあることを実感しています。計測すると継続できる。まさに「計測は力なり」。

いままで20数年間に、幾多の歩数計を購入し、歩数を計測してきました。でもそれ以外の数値を測った経験がない。昨今、色々な値を計測できるデバイスが発売されていますが、余計なものを身につけてまで計りたいとは思いませんでした。でも Watchなら、腕時計。単体の歩数計とか計測デバイス類を身につけるより自然。

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 Watchを使うと、消費カロリー、距離、時刻、時間、速度、平均ペイス、平均心拍数がわかります。なにより、エクササイズした時間を自動的に把握できるのがいい。スタンド(1時間のうちに1分以上立っていた時間が何時間あるか)がわかるのもいい。

こうして日々の活動量が自動的に計測されることにより、もっと動こう、もっと歩こう、もっと活動しよう、という気持ちが起こります。今日の実績を知って、明日の活動に繋げる。だから継続する。単に継続するだけではなくて、昨日の自分と同等かそれ以上の数値を出したい、と感じるようになります。積極的に「継続」するようになるのです。

計測の力は大きい。計測によって継続する。

計測は力なり。計測は継続の源なのです。ありがとう、 Watch。

〈↓〉は、毎週、 Watchが週明けに教えてくれる、前週の集計値。

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ちなみにこの「計測は力なり」、ロースクールの院生(司法試験受験生)には「1日に書いた文字数」で計測するように指導しています。彼らの仕事はひたすら論文を書くこと。EvernoteやTreeに書いた論文の文字数は「command+shift+i」で表示される。それを記録して、日々の思考実績を可視化するのです。

まさかいまどき、論文を書く訓練を手書きでやっている人はいないでしょうから、EvernoteやTreeでなくても、その他どんなエディタでも文字数はカウントできます。なかでもEvernoteは、教員や仲間とノートブックを共有できる点、論文指導を受ける環境として、優れています。

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