講義

2015.06.02

4039-150521 授業はオーケストラ〈レンズはSIGMA 35mm F1.4 DG HSM〉

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shioゼミ卒業生が研究室を訪れました。「女性が運営する便利屋 サポートワン」を経営しています。

最近では、テレビ、ラジオに出演したり、新聞、雑誌に多数掲載されて、ずいぶんと著名に。ドイツのニュース番組でも放映されました。すばらしい!!

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前回、研究室に来た時の話はこちら。

そこに書いたように彼女は「事実に、法律を、適用する」チカラを身につけて、事業に活かしています。

そのように実践できるホンモノの力を身につける教育をしたい。2000年に成蹊大学の教員になって以来、shioが一貫して探求している教育の目的です。知識の伝授でなく、人生で使える手法、スキルを身につけて欲しい。

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shioの基本的な考え方は「授業は体育」。

体育の授業で教員だけがエクササイズしていて学生が見学している、という図式は成り立たない。エクササイズするのは学生で、教員はコーチ、インストラクター、アドバイザー。

法律科目でもまったくその考え方で授業を運営しています。学生たちが自分自信の肉体の一部である頭脳、手、口、目、耳を駆使してさまざまな演習を行う。shioはコーチです。

過去、下記のエントリーでもその点について言及しています。

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では「授業は体育」を実践した場合、教室の有様はどうなるか。

日本の大学で一般的な「講義」、すなわち教員が話し、学生が聞く、という教室では、教員はソロの演奏家、独唱者。学生たちは聴衆、オーディエンス。

一方、shioの教室は180度逆向きです。shioは指揮者。学生たちがオーケストラ。教室は、オーケストラが実際にコンサートを行うはるか以前に、練習する場です。練習ですから当然、聴衆はいません。

shioはいつも、教壇から降りて、学生たちの座席と同じ高さの床に立ちます。そこから全体に対して指示を出して全員で練習(問題演習)したり、その楽曲の趣旨を説明したり、個別(パートごと)に音出しして(グループで検討して)もらったり、ソロの部分を弾いて(意見を表明して)もらってみんなで聞いたり、といった風に進めていきます。

さまざまな楽器(価値観の学生)が、それぞれ異なる音色(見解)で、異なる旋律(意見)を鳴らす。それに呼応して別の楽器が別のフレイズ(意見)を弾く。そのあとまた全体で合わせたり、shioの指示を伝えたり。その繰り返し。

それがshioの教室。shioの授業。学生たちが自ら「スキル」や「手法」を身につけていくことによって、自分で「事実に、法律を、適用」できるように進歩していきます。

shioの授業はオーケストラの練習風景なのです。

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2012.07.09

2791-120703 違法ダウンロードに刑罰を科す改正著作権法について

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7月3日17:20〜18:15、NHKラジオ第一の「私も一言!夕方ニュース」でコメントしました。
http://www.nhk.or.jp/hitokoto/

テーマは「改正著作権法 ネット社会で問われる課題」。
放送終了後の一コマ。
http://cgi2.nhk.or.jp/hitokoto/bbs/form2.cgi?cid=1&pid=15146

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shioの考えをまとめておきます。

(1) 著作権法の究極の目的は「文化の発展」です(著作権法1条)。
各条文はその目的に適するように規定すべきですし、解釈・運用すべきです。違法なダウンロードを刑罰の対象とすることが、この目的にかなうでしょうか。これについては後述します。

(2) 著作物などの「情報」は、得てみて初めて内容がわかる、という性質があります。
だから本屋さんは立ち読みOKなのです。情報を得る前にその内容(違法にアッブロードされたものか否か)を判断せよ、というのは無理な話です。

(3) コミュニケイションによって社会を形成しながら生きる人間にとって、情報を得ることは基本的かつ本質的な行為です。したがって情報を入手するプロセスに刑罰を科すべきではないと思います。実際、電波法は、無線通信を傍受する行為は刑罰の対象としていません(それによって知った内容を漏らすことは犯罪です)。情報の入手プロセスの一部を刑罰の対象とすることは、人々の判断や表現の基礎を奪うことにつながり、憲法の定める思想良心の自由(19条)、表現の自由(21条)にも反することになるでしょう。

(4) 規定の内容が不明確です。
不明確な刑罰規定は、刑法の基本である「罪刑法定主義」に反しますし、刑法の自由保障機能(刑事罰の対象となる行為以外は自由に行動していい)をも阻害します。

今回新たに設けられた規定を見てみましょう。

第119条第3項
第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて、有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。)の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

この規定には下記のような問題点があると思います。

・「有償著作物等」という概念を使うのは不適切です。そもそも著作権法は、著作物が「有償」か「無償」かによって区別しません。「有償」という文言自体、著作権法に登場するのは1カ所のみで、それも「有償であるか又は無償であるかを問わず」という表現です(2条1項19号)。したがって、著作権法の価値観として、著作物を有償か無償かによって区別していないのです。それにもかかわらず、いきなり刑罰規定のみに「有償」概念を用いるのは不適切です。

・著作権法において「公衆」とは、不特定多数と特定多数の両方を含みます。ですので、この「有償著作物等」の定義によると、日本のどこかで一部の人々に対して有償で提供・提示されている著作物も「有償著作物等」となります。ではたとえば、先週の日曜日にshioたちが高田馬場で行った音楽会(聴衆約80名)の録音がネットでダウンロード可能な状態になっている場合(実は本当にダウンロード可能です)、それが有償で販売されているファイルなのかそうでないのかを他の人々は判断できるでしょうか。

このような不明確な規定が、議論も乏しいままに立法されてしまったことが、大変残念です。

(5) 人はできる限り違法行為を避けようとしますから、不明確な刑事罰規定があると、判断のつかないグレーな行為はすべて躊躇し、回避します。これを萎縮効果といいます。せっかくインターネットですばらしい著作物が流通しているのに、それが違法にアップロードされたものであるかどうかわからないがために視聴できない、という状況が日本中で(というかこの規定は国外にも適用されますので日本以外でも)日常化するのです。著作物が利用しにくくなればなるほど、著作物に触れる機会が少なくなります。既存の著作物に触れにくくなれば、学ぶ機会も減り、著作物を視聴して影響を受ける機会も減って、新たな著作物が生み出されにくくなります。

結局、長期的には、日本の文化的貧困を招くのです。

shioはそれがとても悲しい。
著作権法の目的は「文化の発展」です。

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2012.05.17

2726-120429 質問の回答にiPad

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GR DIGITAL 4

講義の最後に毎回学生たちが記述して提出する「オピニオン・ペーバー」。
すべて、手書きでコメントを記載して次週に返却するのですが、そのうち、質問が書かれているものに関しては次週の冒頭で、解説を加えます。

その際、ペーバー自体は講義開始前に学生に返却するので、以前は質問に回答する分だけコピーをとっていました。
しかしそれは紙の無駄。

そこで今年から、ScanSnapでPDF化したものをEvernoteに送り、講義の場ではiPadで見ながら質問を読み上げて、回答しています。
ScanSnap→Mac→Evernote→iPad、という連携。
ありがたい!!

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2012.04.23

2714-120417 民法1、第一回

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SIGMA SD1 + 24mm F1.8 EX DG ASPHERICAL MACRO

2012年4月17日、「民法1」の講義、第1回です。

毎年4月、初回の講義が好き。
特に「民法1」は、法学部に入りたての新入生を法律学の世界に誘う大切な時間。

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SIGMA SD1 + 24mm F1.8 EX DG ASPHERICAL MACRO

shioの話が進むにつれて、学生たちの目が爛々と輝いていくのがうれしい。
学生たちの期待感が高まっていきます。

終了後、その日の「クエスチョン」とともに学生たちからのメッセージが書かれたオピニオンペーパーを読むと、彼らの前向きな気持ちがびんびん伝わってきます。

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SIGMA SD1 + 24mm F1.8 EX DG ASPHERICAL MACRO

民法って面白い!!
その真実を1年かけて、伝えます!!

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SIGMA SD1 + 24mm F1.8 EX DG ASPHERICAL MACRO

2012.03.20

2675-120309 王立プノンペン大学で民法の講義

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GXR+「RICOH LENS A16 24-85mm F3.5-5.5」

朝一でシアヌークビルを出て、5時間半かけてプノンペンに戻り、13:30から王立プノンペン法律経済大学で民法の講義(ボランティア)。
今回の学生は3年生と4年生。
できたばかりのカンボジア民法と100年以上使われている日本民法を比較対照しながら、財産法、物権法、債権法、契約法の本質について、講義しました。

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GR DIGITAL 4

shioの講義はいつものように、学生たちとの対話で進みます。
すべて日本語。
学生たちは、自在に日本語を使って、shioと対話します。
するどい質問も出ます。
すばらしい!!

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GXR+「RICOH LENS A16 24-85mm F3.5-5.5」

日本の法律だけでなく、日本語にも強い興味を持っている彼ら。
shioの講義中も、民法の講義と並行して日本語のお話もしました。
「参観」
→「三寒四温」
→数字を使った熟語がたくさんある
→「一朝一夕」「一石二鳥」
→(物権の性質としての)「一物一権主義」
という風に。
みんな、楽しそう^^

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GXR+「RICOH LENS A16 24-85mm F3.5-5.5」

2012.02.17

2638-120201 「民法1B」期末試験問題

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シグマDP2x

2012年1月31日に実施した「民法1B」の期末試験問題を掲載します。

以下の問に答えなさい。解答にあたって必要な条文については条文の番号を必ず括弧書きで併記すること(文言の解釈が必要な場合を除き、条文そのものを引用する必要はない)。

問1 以下の説明が正しいと考える場合は「○」、正しいとは言えないと考える場合は「×」を付け、その理由を述べなさい。答案用紙の表面に各々6行ずつ記述してください。

(1) 消費者契約法はすべての取引に適用される民法の特別法である。
(2) A所有のカメラαがBとCとに二重に売却された場合、αの所有権はB、Cのうち先に代金を支払った者に確定的に移転する。
(3) D所有の土地βが詐欺によってEに売却され、E名義の登記がされたのち、DE間の売買契約が取消された場合、残存するE名義の登記を使ってEがβをFに転売したとしても、Fはβの所有権を得ることができない。
(4) G所有の土地γが虚偽表示によってH売却され、Hからγを購入したJがGH間の虚偽表示につき善意で、さらにJからγを購入したKが悪意だった場合、Kはγの所有権を得られない。
(5) 「民法IB」の講義は面白かった。

問2 不動産登記制度は必要か。まず結論を述べたうえで、その理由を具体的に論じなさい。その際、登記の公信力について説明すること。答案用紙の裏面に記述してください。

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シグマDP2x

2012.02.02

2637-120131 写真講座DVD「写真をカクシンしよう!!」発売

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GR DIGITAL 4

shioの写真講座がDVDになって発売されました!!
タイトルは「明日の教室 第21弾 塩澤一洋 写真をカクシンしよう!!」。

ご予約いただいたみなさま、お待たせいたしました。

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GR DIGITAL 4

昨年11月26日に京都橘大学で行った講座です。
現役教員と将来教員をめざす学生たちを対象とする講座シリーズ「明日の教室」のひとつとして開講されました。

写真撮影の基礎となる3つのポイントについて1時間ちょっと語ったあと、質疑応答が小一時間。
そのあと屋外に出て、以前からshioが提唱している「50枚ドリル」という実技を1時間ほど指導してます。
質疑応答では、カメラのホールディングなど、基本的なことについても実演しながら説明しています。

登場する機器は下記の通り。
・リコー「GR DIGITAL 4」(後半の「50枚ドリル」ではこれを使っています)
・キヤノン「EOS 5D Mark II」 + シグマ「50mm F1.4 EX DG HSM」
・シグマ「シグマSD1」 + シグマ「24mm F1.8 EX DG ASPHERICAL MACRO」
・BlackRapid「RS-W1」

合計約3時間で、税込み3,000円です。
ぜひ、ご覧くださいませ。

ご注文は下記のサイトからどうぞ。
http://sogogakushu.gr.jp/asunokyoshitsu/dvd_021.htm

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2012.01.29

2630-120124 立ってシゴト、座ってレスト

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GR DIGITAL 4

「立ち机」のお話の続き。
前回はこちら。
「2625-120119 仕事は立ってしよう」→http://shiology.com/shiology/2012/01/2625-120119-790.html

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アスクルに注文していた「アール・エフ・ヤマカワ リフレッシュテーブル 角型 高さ1000mm 木目 RFRT-HT1240N」(13,900円)が届いたので、Macのモニターを置いた書棚の前に設置。
しかし、shioには画面が近すぎる。
そこで、書棚の手前に(前回書いた)「GALANT」を置き、その手前に「リフレッシュテーブル」を置いたらちょうどいい。
高さ100cmの「リフレッシュテーブル」を高さ90cmのGALANTの上に半分かぶさるようにして置いたため、使い勝手もいい。
モニターから目までの距離は以前と同様、約90cm。
モニター設置面の高さは床から約110cm。

それで2日間、仕事しました。
Macを使う作業はすべて立って行う。
快適です。

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さまざまなメリットを感じます。
・仕事が捗(はかど)る。これが最大のメリットでしょう。
・体が楽。立っている姿勢って、体への負担が少ない。
・いい姿勢が持続する。体が楽な要因はこれ。一般的な椅子に長く座っていると、どうしても姿勢が悪くなっていくが、立っていればいい姿勢のまま。
・だから肩も首も背中も腕も、痛くならない。ともかく楽チン。
・スーツの膝が伸びない。
・スーツにシワが付かない。
・貧乏揺すりしない^^
・聞いている音楽に合わせて踊りながら仕事できる。
・大好きな「ステピンボード」に乗ったまま仕事できる→http://www.crowni.co.jp/cr040000.htm

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GR DIGITAL 4

なんで仕事が捗(はかど)るのか。
立っているときは仕事をして、休むときは座る、というメリハリがはっきりしているからだと思います。
だから自然と「いま書こう」、「いま返信してしまおう」、「いま終わらそう」と考える。
つまり立位の方がアクションまでの心理的距離が近いのです。

そもそも。
世の中、「作り出す仕事」って基本的に立って行う。
シェフ、大工、手術中の医師、ライブ演奏中のミュージシャン、講義中の教員……。
みんな立っている。
だからもし、Macを使って何かを作り出そうと思うなら、立ってやった方がいい。

一方、情報を受信するときは、座っていていい。
講義を受ける、本を読む、音楽を聴く、映画を観る……。

立って発信、座って受信。
立って表現、座って鑑賞。
立ってシゴト、座ってレスト。

あぁ、もっと早く気付くべきだった!!

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2011.06.06

2388-110526 芸大でゲストレクチャー2コマ

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東京芸術大学で2コマ講義。

3限・電子音楽概論:「芸術表現と著作権」
5限・芸術情報特論:「写真表現の思想──写真は撮るのか、写すのか」

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SIGMA DP2

3限は著作権法のお話。
5限は、 shioが何をどう考えて写真表現をしているか、というお話。

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SIGMA DP2

5限の方はUstreamで配信されました。現在アーカイブが公開されていますので、ご興味のある方はこちらでご覧くださいませ。

「芸術情報特論 / Special Lecture in Information Art」→http://www.ustream.tv/channel/芸術情報特論

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SIGMA DP2

2011.05.29

2375-110513 民法4

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金曜日
1限・2限:民法4
相殺

4限・5限:shioゼミ
無権代理人の相続

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GR DIGITAL 3

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