Calligraphy

2005.11.20

558:051119 Calligraphyのココロと美しさ

nobiさんが,No.154 — 思考の道具 :「アウトライン & マインドマップ編」でshioを紹介してくださいました。いつも,どうもありがとうございます。思考の道具としてのMac。shioも大いに恩恵にあずかっております。それは折々,shiologyで書いていますので,今日は別のお話。

【Calligraphyの道具を購入】
今日は,Palo Altoにある画材屋さんに行って,カリグラフィー(Calligraphy。英文の書道のようなもの)の道具を買ってきました。ペン,ペン先(nib),ペン軸,インク,紙。しめて98ドル。結構な値段になりました。欲しい種類のインクのピンクが売り切れでちょっと残念。でもこれでカリグラフィーでアートできます。アメリカに来るとき,shioが持っているカリグラフィーの道具を持ってくるかどうか悩んだのですが,行ってから買えばいい,と思って持ってこなかったので,早く欲しかったのです。ようやく手に入れることができて,落ち着きました。

shioが中学3年のとき,小田原真喜子さんがお書きになった「美しく書かれたアルファベット」を読み,さっそく道具を買ってきてその本のとおりに練習しました。本の中に書いてあったことを一通りやり終えたshioは,もう一冊「はじめてのカリグラフィー」も入手して,ひととおり練習し終えました。

基礎的な書体が数種類描けるようになったのであとは自由に描けます。図書館などで英語の詩を探してきて,色紙を一回り大きくしたような紙に,いろんな形でそれらの詩を次から次へと描いてゆきました。shio流に書体をアレンジして(いくつか法則があるのです),装飾を付けて,カラフルにして,楽しみました。たくさん書いて「作品」がたまったshioは,面識もないのに小田原先生にお電話をして,描いたものを見ていただきたいとお願いしたところ,快く渋谷で会ってくださいました。本の著者,つまり「先生」にお目にかかって,shioが描いたものを見ていただいて,ほめていただいて,ものすごくうれしいshioでした。

そのときshioは,小田原先生にひとつうかがいました。
「先生の本の中に「copperplate体」という書体が出てきますが,それを書くペンはどこを探しても売っていません。どこに行けば売っていますか?」
先生は,
「あぁ,あれは日本では売ってないと思うわ。」
そして奥から,カッパープレート体を描く特別のペン(ペン軸の先端が4の字に曲がっています)とペン先(力を入れるとペン先が開いて,軌跡が太くなります)を持ってきて,shioにくださいました。shioは心躍らんばかりにうれしくて,お礼を申し上げて,家に帰ってカッパープレート体でaからz,AからZまで書きました。その美しいこと。

以来,手書きできちんと英文を書くときには,必要に応じてカリグラフィーで書いています。
高校2年生のとき,所属していたブラスバンドの定期演奏会が開かれましたが,そのチケットとポスターは,shioがカリグラフィーでデザインしたものです。自分の結婚式のWelcome boardも自分で描いたし,友人の結婚式のWelcome boardも製作しました。書道をやっている人はたくさんいるけれど,Calligraphyをやっている人は少ない。そもそも知っている人が少ない。なので,shioが描いたものを「手書きです」って言っても信じてもらえないことが多いです。

小田原先生は2000年4月に,銀座のミキモトギャラリーで初めての個展を開かれました。それを訪れたshioは,先生に15年ぶりにお目にかかることができました。先生の作品の数々はそれぞれひとつひとつ,完成度が非常に高く,芸術性にあふれており,圧倒されました。本当に美しい。

shioはカリグラフィーを始めて以来,小田原先生の作品やその他のカリグラフィーの作品に出会うと,それをお手本にしてマネをして描いてきました。でも,この個展に出品されている作品は,マネできません。美しすぎて,完成度が高すぎて。本当にきれいです。そのときのカタログはいまでも大切にとってあり,何となく綺麗なものを見たいときにページを開いています。大きな実物の作品の圧倒感はないけれど,その美しさは十分に伝わってきますから。うっとりします。

さて,今年の6月14日,Stanford大学でSteve Jobs氏が行ったCommencement address(卒業式の祝辞)の中で,彼が大学時代にCalligraphyのクラスに出席していたことが述べられています。shioはそれを読んで,そしてその後,iTunes Music Storeで配布されるようになった演説の音声を聞いて,彼がMacで文字のクオリティーにこだわる意味が分かりました。(shioゼミのみんな,この音声を聞き,この原稿を読んでください。感動するよ。人生の点は,後でつながるのです。)

現在のDTP文化は,彼がCalligraphyを学んだところに始まったといっても過言でない。Pagesでヒラギノを使った文書を作って印刷物と見まごうばかりの書類が簡単に作れるのも,shioお気に入りの英文書体でかっこよくて美しいドキュメントが作れるのも,こうして今見ている画面の文字がギザギザしていない滑らかな文字で見易いのも,すべて彼のCalligraphyから始まっている。Jobs氏は,だれもがクオリティーの高い文書を作れる文房具を作ってくださった。本当にありがたいことです。

文書全体を構成する各要素のうち,書体は,全体の雰囲気を決定する極めて重要な要素です。そのクオリティが高いことは,そのまま文書のクオリティの高さにつながります(もちろん,内容が重要であることはいうまでもありません)。15歳のshioがCalligraphyを始めたときの気持ち,きれいな字できれいな文書を作りたい,という気持ちを,そのまま具現化してくれているのがMacであり,それを作り育ててくださったJobs氏もまた,Calligraphyのココロを持っている。shioがMacが好きな理由がとてもよくわかりました。

Calligraphyをやっていてよかった。
というわけで「きれいな文書を作る道具としてのMac」のお話でした!?

Giverny (France) にて。GR Digital。
R1001336

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