友人の弁護士から質問メッセージが届き、返信しました。許諾を得たので、そのやりとりを若干編集のうえ、転載いたします。
友人からのメッセージ
先生、こんにちは!
本日出勤で学生の作業待ちの間、先生のブログを拝見していました。そこで、お聞きしたいことが二つほど。1つ目、歩行の記事から。歩くとき「膝を抜く」というのは、どういうアクションなんでしょうか? これができるときっと女性に多い膝を痛めるというリスクを大幅に軽減できると思うんですよねー。ものすごく説明しにくい質問で恐縮ですが、おヒマなときにでも。
で、2つ目が、立ってお仕事の記事から。女性が立ちっぱなしの仕事をしていて気になるのが、「足のむくみ」なんです。確かに歩きながら考える、覚えるはとてもいいのですが、そこが怖くて立ちながら作業を控えがちになっています。そのあたり、どうですか?むくみますか?
shioの返信
「膝を抜く」ってわかりにくいですよね。ぼくも最初、わかりませんでした。実のところいまもよくわかっていなくて、日々、色々と考えながら歩いているところです。いまの僕の理解では、着地時に地面から受ける衝撃を上体に伝えないため、膝の力を抜いて、膝を少し曲げ、衝撃を逃がす感じです。
かかとのある靴で歩く限り、着地時にカツカツと衝撃を受け、それが膝、股関節、腰、背骨、首、脳へとダメージを与える続けます。かかと着地では、重心より前で着地するので、前進する体に対してブレーキをかけるうえ、その衝撃をもろに受けます。また、体より前で着地するので、膝を抜くのも難しい。
しかしヒト(という動物)がそんな不合理な運動をするはずがない。そこで、裸足で走ったり歩いたりしてみると、かかと着地などしていない。前足部(forefoot)着地です。
裸足ですと、ほぼ重心の真下で前足部から着地します。前進する身体にブレーキをかけることもないし、自然に膝を曲げ、力を抜くこともできます。裸足で片足ずつケンケンしたり、両足でジャンプしてみると、膝を抜く感覚がつかめてくると思います。
そのような裸足の歩き方、走り方を、靴を履いた状態でも可能にしたのがビブラムファイブフィンガーズです。これを履いて歩くと、裸足同様、前足部着地になります。地面からの衝撃をかかとで受けることもなくなり、膝を抜く歩き方もしやすいのです。
2点目。
ビブラムファイブフィンガーズを履いて最初に感じるのが、「脚がむくまない」という効果です。それだけでも日々、本当に楽になりました。教員は基本的に立ち仕事なので、足がむくまなくなっただけで、業務の負担が軽減されました。
なぜむくまなくなったのか。理論的なことは存じませんが、血行が良くなって体が温まったことなどを総合して、以下のようなメカニズムかと推測しています。
前足部着地をすると、土踏まずのアーチをサスペンションとして使います。つまり、アーチを使って衝撃を吸収しているのです。そのときに、アーチの周囲の筋肉を使います。またふくらはぎなどその他の筋肉も総動員して、サスペンションを機能させます。だから、1歩1歩進むごとに足の筋肉、脚の筋肉がキュッキュッと収縮し、ポンプのような働きをして血流を促します。足の裏は第二の心臓と言われるゆえんです。
その結果、重力で下がった血液など、水分が上半身に戻され、むくむ原因がなくなるのではないでしょうか。
僕は研究室で基本的に立って作業しています。立ち机です。Macも立ったままタイピングしています。そして作業の途中でよく歩きまわります。授業中も歩きます(机間巡視、机間指導と呼ばれます)。それにより、血行が促されてむくみが生じないのだと思います。
歩く、それも裸足で歩くってとても大切。これからも、色々と考えながら試したいと思っています。
shioからの返信、終わり。
その後、歩行の研究をしている金子先生にお話を伺ったら、理想的な歩行は筋力の使用を最小限にし、腱の張力をバネとして使うとのこと。shioの理解は不十分でした。
shioの足の裏を見てくださった金子先生曰く「ああ、これは筋肉ですね。木登りの筋肉、付けちゃいましたね。これから筋力を使わない歩き方を練習すれば、この筋肉は落ちていきますよ。」
確かにshioの足の裏を見ると、土踏まずに筋肉がつきすぎて盛り上がってしまっています。歩行時に筋力を使っているためです。またビブラムファイブフィンガーズのソウルを見ると、指の付け根あたりが最もすり減っている。歩行時に地面を後ろに蹴っている証拠です。同じようにふくらはぎの筋肉も付いています。
本来は、着地時に足の指が持ち上がり、ローリングして地面を転がる。足の裏がタイヤの表面のように局面を形成し、タイヤのように弧を描きながらローリングすることによって、小さい接地面積、小さい摩擦で歩く。すると、どんなに歩いても疲れない。楽に歩き続けることができる。
ローリングするから地面を蹴らない。蹴らないから力が抜けている。膝の力も抜ける。これが「膝を抜く」の正体のようです。
さらに研究を続けたいと思います。