3868-141121 Macを親指シフト化する手順(2014年11月21版)
「教官から『書面の作成が速いね』と言われます」と、司法研修中の卒業生が言っていました。彼の他にも、shioの勧めで親指シフト(NICOLA配列)を始めた卒業生などから、最近、相次いで、同じ話を聞きました。周囲の人から「文書の作成が速い」と言われるとのこと。
ローマ字入力で文章を書いている人のタイピング音と、親指シフトで文章を書いている人のタイピング音では、明らかにローマ字入力している人の方がたくさん仕事しているように聞こえます。マシンガンのように「ダ〜〜〜〜〜〜……」と打ち込んでいる音が聞こえますから。
一方、親指シフトしている人の音はマシンガンほどではない。「タタタタタタ……」という感じ。音の速度はローマ字入力よりゆっくり。
なので、その音だけ聞いていたら、親指シフトしている人は「ゆっくり書いている」という印象を周囲に与えます。ローマ字入力している人は、超高速で書いている、いかにも仕事しています、という印象。
しか〜し、実際の仕事量は全く逆。親指シフトで文章をタイプするために必要な打鍵数は、同じ文章をローマ字入力でタイプするときの6割弱。半数まではいかないですが、かなり少ない。だから親指シフトの場合、例えばローマ字入力の8割程度のゆっくりした速度でタイプしても、1.2倍ほど早く、同じ文章を書き終わるのです。
そんなわけで、「見た目」というか「聞き耳」から受けるゆったりした印象とは裏腹に、他の人より早く仕上がるため、そのギャップがより大きく感じられて、冒頭のような感想となるのだと思います。もちろん文章の内容の方かスピードより大切なのは言うまでもありません^^
ゆっくりなのに速い親指シフト。日本語を楽〜〜に入力できます。
すべてのひらがなを1打鍵で打てる「1音1打鍵」。日本語の音と打鍵とが一致している「言行一致」が実現しているので楽。キーボードを使って文章をタイプする人なら、この恩恵は誰にとっても大きいはず。
もちろんキーボードなんて一切見る必要なし。習得方法さえ間違えなければ、誰でも確実にタッチタイピング(いわゆるブラインドタッチ)できます。周囲の学生、院生が何十人も親指シフトに転向し、後戻りしていない実績からして、明らか。
先日は、いままでWindowsを使ってきた士業の卒業生がとうとうMacを購入し、同時に親指シフトを始めると言って、研究室にMacBook Air 11インチを持参しました。すぐに設定。数分で完了。
続いて、成蹊大学法学部に入学を希望している高校生から、親指シフトにトライしたいとのご連絡。「Macで親指シフトをする方法は簡単です」と返信を書いて、blogの記事にリンクを貼ろうとして気づきました。shiologyに書いてある親指シフト化方法の記述は内容が古い!!
そこで、最新の環境での設定方法を書きましょう。単に親指シフトに変更することもできますが、shioは「orzレイアウト」を使っています。右半分のキー配列を1列右にずらしているのです。キートップの刻印で言えば、左手のホームポジションが「asdf」、右手のホームポジションが「kl;:」に位置しますが、英数字もずらしているので、たとえば[k]キーを(人差し指で)打鍵すると「j」が入力されます。したがって、欧文を打つ時も(右手をずらしたまま)通常のレイアウトと全く同様に打てます。これによって、「かな」キーを「右親指シフト」として使うときに親指が自然な位置になるので、快適に入力できるのです。
おかげで、Mac標準のJISキーボードを使えます。特殊なキーボードは不要です。そこも誤解があるようですが、親指シフト用のキーボードというものが細々と売られているものの必要ないです。Mac用のJISキーボードで十二分に快適に親指シフトできます。
実際shio自身、2011年4月1日に23年続けたローマ字入力から親指シフトに転向して以来、Macの純正キーボード(MacBook Airなどの本体のキーボードとApple Wireless Keyboard (JIS))で親指シフトしています。もっともより快適な環境を求めたかったら、PFU製の「HHKB」シリーズの「HHKB Lite 2 for Mac(日本語配列<かな無刻印>モデル)」か「HHKB Professional JP」がいいです。
- HHKB Lite 2 for Mac(日本語配列<かな無刻印>モデル)→ http://www.pfu.fujitsu.com/hhkeyboard/lite2mac/
- HHKB Professional JP→ http://www.pfu.fujitsu.com/hhkeyboard/hhkbprojp/
shioはHHKB Professional JPを愛用しております。研究室では立ち机に2台並べて、右手用、左手用として使用。その他、自宅用、持ち歩き用など。
Macで親指シフト(orzレイアウト)する手順(2014年11月21日版)
インストールにあたって、現時点の各最新バージョンは以下の通り。
- Mac:OS X 10.10.1 Yosemite
- Karabiner:ver. 10.4.0
- orzレイアウト 定義ファイル:ver. 2.0
具体的手順
- 「orzレイアウト 定義ファイル ver. 2.0」をダウンロード→ http://www.orz-layout.com/setting/setting_list.html
- 「Karabiner」をダウンロードしてMacにインストール→ https://pqrs.org/osx/karabiner/index.html.ja
- アプリケーションフォルダにある「Karabiner」を開き、「Karabiner」ウィンドウ右上の「Misc & Uninstall」をクリックし、「Custom Setting」の「Open private.xml」をクリック。
- 開かれた「Karabiner」フォルダの中身をすべてゴミ箱に捨てる。
- 1.でダウンロードして「ダウンロード」フォルダにある「orz_layout_2.0」フォルダを開き、「orz」フォルダと「private.xml」の2つを、4.の「Karabiner」フォルダに移動。
- 5.で使った2つのフォルダを閉じる。
- 3.の「Karabiner」で左上の「Change Key」をクリックし、右上の「ReloadXML」をクリック(これでKarabinerにorzレイアウトが読み込まれました)。
- リスト最上部に現れる「親指シフト Orzレイアウト」で(現れない場合はリストを上下にスクロールしてみてください)、左端の「▶︎ 」をクリックして開く。
- 下記の14箇所にチェックを入れる(「▶︎」があるところはすべて開いて行数を数えています)。
- 1行目:<親指シフト ローマ字モード>左シフト=スペース, 右シフト=かな
- 9行目:「:」キー
- 11行目:英数モード 右キー配置を下のように変更
- 12行目:6→¥
- 14行目:英数モード センターキー変更
- 15行目:日本語モードでのShiftとの英数入力を下のように変更
- 16行目:日本語モードでのShift 英数字 センターキー変更
- 17行目:commandキー for finder with Orz
- 18行目:ことえり CONTROLキー with Orz
- 23行目:[改行] Control+M to Return with Orz
- 24行目:Control+H to BS
- 25行目:Control+D to Forward Delete
- 27行目:Control+PNBF to Up/Down/Left/Right
- 28行目:Control+AN to Command+Left/Right
- 右上の「ReloadXML」をクリック。
- 「Karabiner」ウィンドウを閉じる。
親指シフト化する設定は以上です。これで親指シフト(NICOLA配列)を「orzレイアウト」で入力できます。このブログ画面右側にある「Categories」の下から3つ目に「親指シフト」があるので、そこからshioが書いた親指シフト関連リンク(下記)をご覧ください。特に、「親指シフト習得の掟」は重要です。
- shiology「親指シフト」カテゴリー→ http://shiology.com/shiology/cat22683936/index.html
- 3256-131010 【親指シフト】習得の掟7つに→ http://shiology.com/shiology/2013/10/3256-131010-7-8.html
【追記】通常の「ローマ字入力」と「親指シフト(orzレイアウト)」とを切り替えて使いたい場合は、Karabinerウィンドウの「MenuBar」で「Setting List」最下部の「+」を押して、複数の設定を保存し、メニューバーから切り替えることができます。例えば変更前の(1箇所もチェックを入れていない)設定を「Default」として保存し、上記の設定に「Oyayubi」といった名称をつけて保存することで、ローマ字入力と親指シフトを切り替えられます。shioの場合はローマ字入力をする機会は全くないので「Default」に親指シフトを保存し、それ以外の設定は保存していませんが、必要のある人はどうぞお使いください。【追記終了】
親指シフトに限らず、Macで文字入力する際、control系のキー操作を併用すると快適です。これらはMacに標準で備わっている機能ですので親指シフトでもローマ字入力でも使えます。これらを使うと、deleteキーとかreturnキーに指を伸ばす必要がなくなるので、楽です。
【カーソル移動操作】
- control+F ── カーソルを次に(右に)移動(ForwardのF)
- control+B ── カーソルをうしろに(左に)移動(BackwardのB)
- control+N ── カーソルを次の行に移動(NextのN)
- control+P ── カーソルを前の(上の)行に移動(PreviousのP)
- control+D ── カーソルの次の(右の)文字を削除
- control+H ── カーソルのひとつ前の(左の)文字を削除(つまりdeleteキーと同じ)
- control+A ── カーソルを行頭に移動
- control+E ── カーソルを行末に移動
【日本語入力の変換操作】
- control+N ── 変換=次の候補を出す(NextのN)
- control+P ── 変換=ひとつ前の候補を出す(PreviousのP)
- control+F ── 注目文節を右に移動(ForwardのF)
- control+SまたはB ── 注目文節を左に移動(BackwardのB)
- control+O ── 注目文節を伸ばす(たぶんOutのO)
- control+I ── 注目文節を縮める(たぶんInのI)
- control+J ── ひらがなに変換
- control+K ── カタカナに変換
- control+L ── 全角英数に変換
- control+; ── 半角英数に変換(半角カタカナをonにしている場合は半角カタカナ)
- control+M ── 確定(returnキーと同じ)
【句読点の入力】
- control+, ── 「、」
- control+. ── 「。」
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