3661-140430 講義開始前に座席が前から埋まる教室の仕組み
2014年度前期にshioが担当している講義は4つ(ほかにゼミがあります)。
- 成蹊大学「民法1」
- 成蹊大学「民法2」
- 政策研究大学院「民法」
- 多摩美術大学「情報と社会」
どのクラスも前から座席が埋まって行きます。特に、1年生を対象とした「民法1」は顕著。9:00開始の1限ですが、8:30にはすでに前2列が埋まっています。8:50には教室の前半分以上が埋まります。また多摩美術大学でも1限開始前8:55に教室に行くと、すでに前から3列にきれいに学生たちが座っています。
このように学生たちが自らの意志で、開始時刻よりも早く来て、競うように前の座席に座るのはなぜか。
仕組みによって動機付けしているからです。shioの講義の仕組みを思いつくままに書いていくとこんな感じ。
- 発言回数によって平常点を付けます。学生自ら挙手して指されて発言した発言を1回1点でカウント。
- 発言は早い者勝ち。先に挙手した者に発言権がある。同時に挙手した場合、より前の列に座っている学生が優先。
- 出席はとらない。 みんなちゃんと開始時刻前に来るから、出席なんてとる必要がありません。「出席を取るから出席する」というような動機付けならしない方がいい。大学は自分の意志で通うところですから、出席なんかとってしまうと、「講義に参加したい」という自分の意志による出席なのか、出席回数を稼ぐために来ているのか不明です。
- 出席をカウントすることは、欠席をカウントしているのと同じくらい無意味。出席しても発言しなければクラスに対する貢献がないので、欠席しているのと同じだからです。
- あくまでも、発言して初めてクラスへの貢献となる。だから「発言」をカウントすることにより、「参加」点としての平常点をカウントします。
- 発言の内容は一切問わない。どんな発言も1回1点。むしろ素朴な疑問ほど、本質を突いている可能性がある。発言内容の価値は発言者本人には判断できないので、まずは言ってみてほしいと願っています。
- そのため、すべての発言はほめる。発言内容の如何を問わず、ほめる。「すばらしい!!」「おもしろい!!」「いいね!!」「なるほど!!」「Nice try!!」など、すべて肯定する。絶対に否定しない、反論しない、間違っていると言わない、おかしいと言わない。だから教室はどんどん発言しやすくなる。学生の発言を聞いた他の学生たちは、自分も発言したい、と思うようになる。
- みんなが発言するようになると、発言者以外の学生が、発言者の意見を聞く機会が増える。ひとつの問題に対してさまざまな見解があるということをリアルに感じ取る。法律問題の答えは無限にあり、人によって答えがまちまちになるのが自然な姿である、という現実を毎回、身をもって体験する。
- 多くの人の意見が教室という場に出されることによって、ひとつひとつの意見の重みが希釈され、発言への精神的ハードルが下がって行き、発言しやすくなる。
- 遅刻を罰する仕組みは一切なし。遅刻すると学生自身が損するだけだということを、学生がよく知っています。
- 講義の内容においても、「続きは次回」とすることによって、次回の講義に最初から参加したい、という気持ちを呼び起こす。
- 学生たちが時間前に集まるようになってきたら、8:45(講義開始15分前)から雑談を始める。前週のオピニオンペーパーのなかに学生が記載した質問事項のうち、講義とは直接関係ないトピックについて、語ります。それを聴きたい学生は自ずと早く来ます。今年の学生からの質問の例:「ビブラムファイブフィンガーズって何がいいんですか?」「Macが好きな理由を教えてください」「先生は学生のときどのような活動をしていましたか?」「先生がよく行かれる吉祥寺のラーメン屋さんはどこですか。ちなみに自分は○○です」「先生の授業を受けてこれが大学の授業なんだなぁと感じました。先生のように堂々とした人になるためには何をしたらいいですか」「今までどこの国に行ったことがありますか。一番楽しかった国はどこですか」「ヴァイオリン、聴かせてくれますか」「先生の座右の銘を教えてください」……。
- レジュメ(講義内容を書いてあらかじめ配布する書面)はありません。人の話を聞いてノートを取れるようにするのも訓練。そこでノートの書き方から指導します。学生たちはちゃんとノートを書けるようになります。2コマで10ページくらい書いています。「レジュメをもらうより自分で書いた方が理解できる」というのが学生たちの実感。だから講義の冒頭から聞き漏らさないように、ちゃんと時間前に来る。レジュメがあると「レジュメをもらえばいいや」と考えて、講義に参加しなくなります。
- 講義中に適宜「御題」を出します。回答はオピニオンペーパーに記述してもらいます。
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