3563-140125 shioゼミ卒業生の写真家に伝えた海外撮影の心得
普段ニコン「D4」を使っているshioゼミ卒業生の写真家が、リコー「GR」を購入しました。撮影の仕事で初めてベトナムに行くといって、相談を受けたおり、下記のような話をしたところ、D4は持参せず、GRだけですべて撮影すると決めたのです。shioが彼女に伝えた話の要点を挙げておきましょう。
一眼レフを海外に持っていくとしたら理由は3つ。
- カメラの評価など、そのカメラ自体で撮影することが目的な場合。
- とても暗い場所で撮影することが予想される場合。
- ポートレイトやカーレースなど、一眼レフでなければ撮影できない被写体の撮影が目的の場合。
それ以外は、大きくて重い一眼レフは足手まとい。海外ではカメラらしいカメラは狙われるので絶対に人目につかないようにする必要がある。カフェのテーブルに置いたまま離れるなどもってのほか。盗んでくださいと言っているようなもの。だから大きくて重くて目立つ一眼レフやレンズは、管理コストが極めて大きく足手まとい。したがってshioは、基本的に持っていかない。
- 高価な一眼レフよりもGRの方が優れている点がたくさんあります。例を2つ挙げましょう。
そのひとつは「Mモード時のワンプッシュ露出設定」機能。これに慣れてしまうと、一眼レフを使っているときでも、なんで一眼レフにはあの機能がないんだ!!と不便を感じるほど。
「Mモード時のワンプッシュ露出設定」機能とは、Mモードのとき、ズームボタンを1回押すだけで適正露出になるよう、絞り、シャッタースピードを自動調整してくれる機能です。これがなければ、撮影対象の明るさが変わるたびに、ダイヤルを回したりADJレバーを倒して、絞りやシャッタースピードを変える必要があります。明るさが少し変わった程度だったらいいのですが、たとえばカンボジアで暗い市場の中と炎天下の路上を出たり入ったりするたびに大幅に値を変更するのは即写性を損ないますから現実的ではありません。GRだと、ズームボタンをワンプッシュするだけで、被写体の明るさ付近まで、絞りとシャッタースピードを自動変更してくれますので、気持ちよくMモードを使うことができるのです。Pモードと異なり、一旦Mモードで値をセットしてしまえば、自分で変更するまでは勝手に露出値が変わってしまうことがないので、逆光だろうと斜光だろうと関係なく、その場に必要な露出一定のまま撮影を続けることができて安心です。
その「Mモード時のワンプッシュ露出設定」機能については、3種類の露出決定方式を選択できます。
- 絞り優先:絞り値を固定してシャッタースピードを調整
- シャッター優先:シャッタースピードを固定して絞り値を調整
- プログラム:絞り値、シャッタースピードの両方を調整
- GRが一眼レフよりも優れているもうひとつの点。shioはMモード以外にAvモードを多用し、常時F2.8にセットしていますが、周囲の明るさがどんな状況になっても、何も設定値を変更する必要がありません。下記のごとく状況に応じてGRがすべて自動的に値を調節してくれるからです。
- 周囲が明るくなった場合、F2.8のまま、まずシャッタースピードが上がっていき、限界まで上がると、次にNDフィルターが自動的に入ってF2.8を維持し、それでもなお明るくて露出を下げる必要があるときは、自動的に絞りを絞って(F値を上げて)くれます。
- 一方、周囲が暗くなっていくと、シャッタースピードが下がっていき、下限として設定したスピード(shioの場合は1/80秒)を下回る必要があるほど暗い場合はシャッタースピードは1/80秒を維持したままISO感度を上げ始めます。そしてISO感度の上限として設定した値(shioの場合はISO8000)を上回る必要があるほどくらい場合は初めてシャッタースピードを下げます。
- それらをすべて自動で行ってくれるので、撮影者は周囲の明るさを意識することなく、ただ黙々と被写体に集中して、絵作りのこと、フレイミング、シャッターチャンスといった写真の本質を意識して撮影すればいい。ちゃんと写す、という部分についてはGRがよしなに計らってくれる。
- したがって、海外の街などをスナップするカメラとして、GRがベストなのです。もちろん国内で日常の撮影にも同じことが言えますが、特に海外ではGRのインテリジェンスが発揮されるのです。
- Pモードだけでなく、上記のように、使えるAvモード、使えるTvモード、使えるMモードが完備している。
- 小さくて軽くて軽快で、警戒を要せず、ポケットに入り、撮りたいときにさっと出してさっと撮影してさっとしまえる。
- 細かい露出値の設定なんて何も必要としないから、カメラとにらめっこして値を上下させるといった無駄な時間がないし、周囲の状況に対する注意がおろそかになることもない。
- 究極のスナップカメラ。
- そのうえ、28mmだけでなく、35mmクロップモード、47mmクロップモードもちゃんと使える。ワンプッシュで切り替わるから、ズームレンズより安心。
- もしもっと広角が必要なら、21mmワイコンを用意すればいい。この小さいカメラで、4つの画角を自在に撮影できる。海外の街などを取材する仕事には、GRがベスト!!
D4を持参しないことを少々不安に思っていた彼女は、shioの話を聞きながら上記の各機能を自分のGRに設定して、その場で試写し、「GRだけでいける!!」と自信を持ちました。
その後一緒にヨドバシカメラに行って予備バッテリーを2つ購入。そこで、SDカードはどうしようかしら、との相談。彼女は16GBのSDカードをたくさん持っているそうなので、それを大量に持参すればOKという結論に達しました。滞在中の撮影済み写真の扱いに関しては、下記のように説明しました。
- 帰国して、納品するまで、撮影した写真のデータはSDカードから消去しないのが鉄則。
- だから、撮影予定枚数をすべて保存できる枚数以上のSDカードを持参する。
- 渡航先では、毎日、撮影後、ホテルに帰ったら、SDカードからMacにすべての写真データを吸い上げる。
- でもSDカードからは消去しない。SDカードとMacとに二重保存して持ち帰る。
- もし、ホテルのネット環境が良ければ、その場でRAW現像してすべてflickrにアップロードしてしまう(ただしそれができるほどの回線速度があることは東南アジアでは稀)。
- もし、iPadも持参しているなら、JPEGをiPadにも保存。これで三重に保存したことになる。iPadは、現地で同行スタッフと写真を確認するときなどにも使える。iPadに写真を保存する方法は、Eye-Fi Mobiカードを使ってワイヤレスで飛ばしてもいいし、Lightning-SDアダプタを使って、SDカードから直接iPadに読み込んでもいい。読み込む枚数やそれを行う状況によって選択。shioの場合は、だいたいランチとか休憩のために入ったカフェなどでオーダーしたお料理が届くまでの間に、SDカードからiPadにコピーし、ランチを食べながら同行のスタッフとともに写真の確認をする。
- 移動中とか飛行機に搭乗するときは、最も重要な撮影済みファイルの入ったSDカードは着ている服のポケットにしまう。万が一、飛行機から脱出する場合にも、一緒に持ちだせるから。
- MacとiPadは別々のバッグに入れ、盗難のリスクを分散する。
- 以前はUSBハードディスクにもバックアップしていましたが、最近はSDカード、Mac、iPadで済ませています。
こんな感じです。ベトナムでのお仕事、楽しんで来てくださいね!!(彼女はすでにベトナムにいます)
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