1124-071214 3人の自分
shioゼミOGのRinaと食事に行くために大学を出ました。
話しながら歩いていて成蹊大学正門前の交差点に差し掛かったとき、品のいい女性二人が「マックにしましょう」と言っているのが聞こえました。つまり、目の前のマクドナルドに入りましょうということのようです。
会話の成り行きとしては、「このへんには適当なお店がないのよねー」といった感じ。
そこでshioは、「あの信号の先に、おいしいお店がありますよ。」とお伝えしました。
そのあと、Rinaの質問。
「先生、なんであの人たちの話が聞こえたんですか? 私と話していたのに。」
たいがいshioには3人の自分がいます。
たとえば講義中。
1人目。
shioXは、滔々と講義をしています。
使う言葉を選び、コンセプトを文章にし、声の抑揚をコントロールし、話す速度を変化させ、視線を配って、学生たちの理解と興味のために語ります。
2人目。
shioYは、shioXとその周りを斜め上から鳥瞰しながら、shioXにフィードバックを送り続けています。
「今の部分、別の言い回しでもう一度説明した方が良さそう」
「しばらく左の方でしゃべったから、次は右の方に行って話した方がいいね」
「いまの表現、学生はかなり理解できたみたい」
「今の単語の漢字がわからない学生がいるみたいだから板書したら?」
「まぶしくなってきたから、ブラインドを下げたほうが学生が快適になるよ」
「学生たちの集中力がかなり上がっているから、次は手で作業をする(ex.六法をめくる)時間を作ったら少しリラックスできそう」
などなど。
3人目。
shioZは、講義の全体を構成しています。
shioの講義は原稿がないアドリブ。もちろん、その日に話す内容の基本線やトピック全体はあらかじめ決めていますが、実際の順序など具体的なことは未定。そこで講義中のshioZは、どの話題をどの順番で話そうか、その具体例として何をいつ使おうか、あの話はすべきかやめておくか、などといったことを、徐々に減っていく残り時間を勘案しながら決めていきます。
shioの講義や講演は、いつもこの3人のshioの共同作業です。
人前で楽器を弾くときも同じ。
周囲の友人たちが演奏している音を聞きながら、それに合わせて自分が出すべき音を考えて弾いているshioX、聴衆(多くの場合、キャンプの子どもたちですが)の反応や自分の立ち位置などを上から見ているshioY、繰り返しの有無や次の曲へのつながり、次の曲の調を考えたりしているshioZ。
他のときも、似たような感じです。
たとえば、クルマを運転するときには、必ず、自車と周囲のクルマの位置関係を上空から見ているshioYがいます。カリフォルニアのフリーウェイで4車線の道を時速100キロ以上で走っているときなど、周囲のクルマの位置関係を上から見てマッピングすることは不可欠です。shioZはどの経路を通るか、といったことを考えています。
街を歩いているときもそれと同じこと。
Rinaと話をしているのはshioXで、shioYは上から自分の周囲を見ているし、shioZはどの経路で目的地までいくか、などを考えているのです。だから、二人の女性の会話もshioYが聞き取っていました。
本当はshioは一人なのかもしれません。
いや、一人なのだろうとは思います。
でも「3人いる」と認識すれば、ヴァーチャルにではあっても「分業」体制が確立するので、一人のshioの負担が減って、楽になります (^_^)
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