955-070612 ことえりが好きなわけ
3回前のエントリー(952-070609 AquaSKK)にTOさんからご質問をいただきました。
「(私は)windowsからMacへの乗換組で、windowsではATOKの文節変換を多用していました。 乗換にあたり、最もストレスを感じていることの一つが日本語変換効率の悪さでしたので、今回のコラムもたいへんに参考になります。ありがとうございます。(中略)ところで今回のコラムを読んでいて感じたのですが、shioさんはIMを状況に応じて使い分けていらっしゃるのですか? 」とのこと。
お答えします。
shioが使っているのは、基本的にことえりです。
使い分けもしていません。
とくに2003年10月にリリースされたMacOS X 10.3 Pantherで「ことえり4」になって以来、現行の10.4 Tigerにいたるまで、ことえりオンリーです。
ことえり4についてはこちらをご参照ください。
→http://www.apple.com/jp/articles/panther/20031107/
もちろん、「最高の環境」を常に求めているので、各社が新しくIMをリリースするたびに、買って、試しています。それは1988年にマックを使い始めてからいままでずーーっと行っていること。従って、この十数年間に発売されたIMは、各種ほとんどのバージョンを購入して使っています。それもアップグレードではなく新規で購入することが多かったです。
その結果、現在もっとも気に入っているのはことえりです。
shioの感覚では、もっとも賢くもっとも快適だと思います。
TOさんは「乗換にあたり、最もストレスを感じていることの一つが日本語変換効率の悪さでした」とお書きになっていますが、これはたぶん、ことえりで短く区切って変換しているからではないかと思います。ことえりを上手に使うコツは、短く区切って変換せずに、最低でも読点(、)まで、できれば句点(。)まで、一文を全部入力してから変換することです。そうすると、気持ちいいほど的確に変換してくれるはずです。
もちろん完璧はありません。ことえりも間違えます。
そのときには注目文節を右に移動して再変換してやります。それはどのIMでも同じでしょう。でも、shioが気に入っているのは、ことえりは文節を切り間違えることが少ないことです(注目文節を左右に移動するには、左右向きのアローキーでも移動できますが、shioはcontrol+FとSを常用しています。また文節の伸縮は、Shift+左右のアローキーでも行えますが、shioはcontrol+IとOで行っています)。
IMが文節を切り間違えると、とんでもない変換結果が表示されて面食らいます。
その場合、どこが間違っているのかよーく見て、「あぁ、この文節が一文字多いんだ」などど原因を把握してから、文節を切り直す作業をすることになります。でもこれは、文章を執筆しているときには大きな思考の妨げになります。一方、文節は正しく切れていて同音語だけ誤っている場合は、その間違いがすんなり見えて(それ以前に同音語の間違いは予測が立ちます)、即座に注目文節を移動して再変換することができます。
したがってshioにとっては、文節の切り間違いがもっとも少ないIMが作業効率が一番高いのです。
この点、shioが使い比べている限り、いまのところ、ことえりが一番です。
egbridge Universal 2は、「スマート予測変換」が非常にすばらしく、使っていて感動すら覚えるのですが、その一方で、いったん文節を切り間違えると、そのあとの文節がめちゃくちゃになることがあるため、文節切り間違いの原因(個所)を探し出してひとつひとつ文節を切り直していく作業が大きな手間です。そこがすごく残念。結局、egbridge Universal 2は2週間ほど使って、アンインストールしてしまいました(もちろん、ワープロソフトのegword Universal 2の方は、愛用中の愛用ソフトです)。
たぶん、egbridge Universal 2はことえりと違って、短く区切って変換して行く方が効率的なのだと思います。でも、shioが文章を書く場合、かなりのスピードでひらがなを打ち続けて一息つくときに変換をする、というのが執筆リズムになっているので、短く区切ってひとつひとつ変換し確定して行くような悠長な書き方はなじみません。だーーーーーーーーーーーっと一文を一気に打って変換し、そのときにその一文を軽くレビューする、という繰り返しの方が、shioのリズムに合っています。逆に、短く区切って変換して行く方がリズムに合うという人には、egbridge Universal 2の方が合っているかもしれません。
このほかことえりは、人名の姓と名のセットを記憶してくれたり、最近使ったフレーズの候補を挙げてくれるなど、使いやすい機能がいくつか入っています。またegbridge Universal 2にはスマート予測変換があって、非常に頼もしいです。でも、そういう付随的な機能よりも、IMにおいて何よりも重要なのは、基本的な変換アルゴリズム。今のところ、ことえりの変換のしかたは、もっともshioの思考に合っているのです。
したがって、「shioさんはIMを状況に応じて使い分けていらっしゃるのですか? 」というご質問に対する答えはNoです。すべてことえりです。それが現状、shioにとってもっとも効率がいいからです。もし、他にもっと効率のいいIMが出たら、すぐに乗り換えたいと思っていますが(そしてそのために、新しいIMがリリースされるたびに使ってみるのですが)、いまのところことえり以上の環境はありません。先日ブログで触れたAquaSKKも、発想はとっても面白いのですが、「短く区切って変換する」というところが、shioのリズムには合いませんので、ちょっと使って仕組みを理解したあとはアンインストールしました。
ことえり、最高に快適です。
木田さんをはじめとして開発してくださっている方々に、心より感謝しております。
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句点まで一括入力する事で、ことえり4が快適であるとのご説明大変参考になります。それで以下のような時にどうされているのか教えていただきたいのです。
(1)文節までで一括変換をされる時、文中に英単語が入っている時どのようにされるのでしょうか。頻繁に出てくる単語は恐らく辞書登録をされていると思うのですが、そうでない単語の場合です(今日のブログを拝見すると恐らく全ての英単語は辞書登録されているようです)。
(2)文章入力中に結構変換の候補が出てきますが、このような時には無視され、句点まで入力されるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
Posted by: p.antenna | 2007.06.18 18:56
mixiで御礼申し上げておりますが、改めてshiologyでもお礼を申し上げるべきだと思い、コメントを再掲いたしますことをお許しください。
なお、私は今のところ、英語はegbridge Universal2で、日本語変換はことえりと使い分けております。
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shioさん、
たいへんにわかりやすくかつ丁寧なコメントをいただきましたことに感謝申し上げます。
IMに関わらず、常にご自分にとって「最高の環境」を求められる姿勢に感服しております。
思えば日本語変換において、私がそもそも文節変換を採用していた理由が、過去に使用していたIMの日本語変換効率の悪さでした。そのIMでは文節をきり間違えることが非常に多く、長文になればなるほど、多量の修正に追われることになり、結果的に文節や単語ごとに変換した方が早いような状況でした。この状況はshioさんがegbridge Universal2における文節きり間違いで感じられたことと非常に近いかもしれません。
このような状況下では、頭に浮かんだ文章をスムーズに記述することよりも、いかに単語を正確に早く打つかを重要に感じてしまい、キーボードを見ながらのタイピングが身に付いてしまいました。そして、タッチタイピングの重要性ならびに必要性を感じることができずにいました。
以上はあくまでも私個人の経験ですが、こうなると文章を記述するにあたり思考の流れは頻繁に遮られてしまうことになります。
今になってようやく思考の流れをスムーズに表現することを目指して、タッチタイピング、ことえりを使っての連文節変換、そして頭に思い浮かんだことをそのまま書き写す練習を始めました。(もっともこれが自分にフィットした手法になるかどうか後日検討することは必要ですが...)。
一方で英文を記述するにあたり、私が最も注意しているのがスペリングの正確性です。egbridge Universal2ではスマート予測変換機能が採用されているので、英文記述中に変換候補の英単語が次々に現れるのはたいへん助かります。
しばらく英文表記はegbridge Universal2で記述してみようと思います。
また、今後ATOKの最新版が出るということですので(情報ありがとうございます)、そちらにも期待しています。なんといっても、windowsでは最も長く使用していたIMですので。
いずれにしろ言語に関わらず、「だーーーーーーーーーーーっと一文を一気に打って変換し、そのときにその一文を軽くレビューする」のが理想ですが、しばらく時間がかかりそうです。しばらくはいろいろ試してみて、自分の新たな(再確認を含めて)リズムをつかみたいと思います。
Posted by: TO | 2007.06.24 20:38