912-070505 GX100・24mm × EVF x Square
打ち立て茹でたてのおいしいおそばを堪能しながら、エンジニアの方々と語りました。おもしろかったー。どんどんアイディアがあふれてくるスバラシイ方々です。
そんなステキな彼らから、GX100のどんなところがいいのかを問われて、shioが語った「24mm × EVF x Square」の意義。
24mmのレンズはとっても広角です。ワイコンを付けたら19mm相当。これは「超広角」の領域。
広角レンズ・超広角レンズは、レンズから遠くにあるものほど、小さく写ります。パースペクティブが強く出るのです。それをうまく使うためには、カメラをまっすぐに(レンズが地面に対して垂直になるように構えて)撮るのが基本。カメラが前後に傾いていると、被写体が大きくデフォルメされます。だからきっちりまっすぐ構える。標準の24mmもさることながら、19mmともなると、その使い方は細心の注意を要します。
もちろんそのデフォルメで迫力を出したり、何かを強調したりするのもひとつの表現方法。だけど、それを意図していなくてもカメラがちょっと傾いただけで、デフォルメが大きくなりすぎます。広角・超広角レンズが「扱いにくいレンズ」といわれる所以のひとつです。
たとえば、目の前1,2メートルにいる人を撮るとき、GX100を自分の「目」の前に普通に構えて、相手を画面全体に入れて撮ろうとすると、カメラを下向きに傾けることになります。そうすると、撮れた写真に写っている人は、頭が大きく、足がすぼまってしまう。カメラを下に傾けた結果、カメラからの距離が離れるほど小さく写るという性質によって、カメラの近くにある頭は大きく、遠くにある足は小さく写ってしまうのです。これでは顔デカ短足で、撮られた人にはあまり喜ばれません。
そこで、レンズが垂直になるようにカメラを構えます。
でも、背面モニターを見るのにちょうどいい高さ(目の高さ)にカメラを構えた状態でレンズが垂直になるようにしても、被写体の人全体を画面に入れることはできません。対応はふたつ。ひとつはうしろに下がること。でもカメラをまっすぐに(レンズが垂直になるように)構えたまま相手の足まで画面に入るようにうしろに下がってしまうと、空が妙に広い絵になってしまいます。やはり、相手を画面いっぱいに入れて撮りたい。
もうひとつの対応は、カメラの位置を下げること。
カメラをまっすぐにしたまま、相手の全身がモニターに収まるようになるまでカメラの位置を下に下げていきます。すると、どうでしょう。相手の全身がモニターに収まるのは、カメラをお腹の前あたりまで下げたときですが(しつこいようですが、カメラはまっすぐのままで、です)、そのとき、立ったままの自分(撮影者)からは、モニターが見にくくなっています。いかにモニターの視野角が広くても、物理的な限界があります。モニターを見ようとしたら、うしろから覗き込むような不自然な格好をする必要があります。
それを解決するためには、従来、バリアングル液晶モニターを付けたカメラがありました。向きを変えられるようになっているモニターです。確かに、GX100にこれをつけたら、上記のような状況でもモニターを上に向けることによって、見にくさを解決できるかもしれません。しかし、屋外でそれをやると、頭上から照っている太陽光がモニターに反射して非常に見にくくなります。あまり実用的ではありません。
そこでGX100は別の方法で解決。垂直にティルト可能なEVF、液晶ビューファインダーです。
これなら、EVFを覗くことで、自然と低い位置にカメラをまっすぐ構えることができます。傾けて撮るとデフォルメがきつくなってしまう24mmや19mmのレンズを、自然に構えただけでまっすぐに使える。それもウエストレベル(腰の高さ)で。そのためのティルト式EVF。まさに願ったり叶ったりの仕組み。広角レンズ・超広角レンズとティルト式EVFは名コンビです。
さてもうひとつの1:1スクエアフォーマット。
これも広角レンズ、超広角レンズを使いやすくしています。これらのレンズを標準の4:3や3:2で使うとワイド感たっぷり。かなり広い範囲を写せます。それが広角レンズのいいところではあるのだけれど、同時に広角レンズが「扱いにくいレンズ」といわれるもうひとつの所以でもあります。
そこでスクエアフォーマット。
スクエアにしてしまえば、ワイドさが低減されます。そして端にいくほど歪曲が大きくなっていく4:3の画面からその端の部分をなくしてしまえば、かなり普通な描写になります。そのうえ、レンズ中心部に近いレンズのいい部分だけを利用しますから、画質的にも有利。スクエアフォーマットは、広角レンズの七難隠すのです。
1:1のスクエアフォーマットは昔からある典型的なフォーマットのひとつだし、24mmや19mmといった広角レンズだって全く珍しいものではありません。でもその両者をティルト式EVFと合わせて220gのコンパクトな筐体に組み込んだとき、新しい価値が生まれました。「扱いにくいレンズ」といわれる広角・超広角レンズを扱いやすくし、多くの人が楽しく使うことができるようにしたのが革新的。その功績は大きい。Ricoh Caplio GX100は、「みんなで写真を楽しもう」という作り手の気持ちが伝わってくる、あたたかいカメラだと思います。
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お写真は渡辺誠一郎さんですね。先日NHKの番組にてとても感銘を受けました。
<渡辺語録>
きめ付けは敵
頭をマッサージする-いろんな発想
生き残るためのネットワーク作り
破壊分子こそ宝
とがった部分をさらに尖らせる
破天荒さを伸ばす
ただ悩んでいるだけの時間を次の手立てを考えるための時間に使おう
マドルスルー muddle through
チャレンジしようとする人をサポートするシステム
目標設定をしない 矮小化してしまう
自分の技術を信じきれるか
--unquote--
私も小さいながら会社経営者ですので渡辺さんの生き方に大変勇気をいただきました。
Posted by: Willy*Nilly | 2007.05.11 13:24