746-061026 タイプする頭
3回前のエントリー(→742-061020 iTunes Store で映画購入)に九州大学の大井尚行さまから コメント をいただきました。どうもありがとうございました。
いただいたご質問に対してshioが考えた結果を直接メールで返信いたしましたが、とても面白い問題提起なので、みなさんにもシェアしたいと思い、メールをそのままペーストします(引用部分がわかりやすいように名前を追加してあります)。九州大学はshiologyを読んでくださっている方が比較的多いと思いますので、大井さんと会う機会のある方は話のネタにでもお使いください。
─────────────────────────
大井尚行さま
<shio>
こんにちは。コメントどうもありがとうございました。
ご推測どおり、英文・和文ともDvorakでタイプしております。以前は両者ともQwertyでした。
<大井さん>
> そもそも和文をかなで打ちたいと思ったのは,外来語をローマ字で打つのがいやだったからなのです。
<shio>
なるほど、いままでそんなこと考えたこともありませんでした。
<大井さん>
> このあたりについてshioさんはどのように感じておられるか,聞かせていただけませんか。
<shio>
了解です。
なんで私がこのことを考えたこともないのかなあと考えてみました。
<大井さん>
> 頭に浮かんでいる元のスペルを無視して
<shio>
なるほど、大井さんはスペルが思い浮かぶのですね。
私がタイプするとき、基本的には手が勝手に打っている、という感じなのですが、思い浮かべているとすると何だろうと考えてみたところ、それは音だと思います。私は文字をタイプしているのではなく、音をタイプしています。どちらかというとピアノを弾くのに近い感覚かもしれません。
「コメント」と「comment」、「タイプ」と「type」、「ローマ」と「Rome」、「スペル」と「spell」……。それぞれ音が全く異なります。したがって、カタカナ表記の(日本語発音の)単語をタイプするときに思い浮かぶ音と、日本語以外で表記する(発音する)単語をタイプするときに思い浮かぶ音は全く異なります。「comment」という文字列を「コメント」と読む(発音する)ことはありませんから、「コメント」とタイプしようとするときに「comment」は思い浮かびません。「komento」です。
そんなわけで、私はローマ字入力でも何ら不快感はありません、というか、むしろ自然です。
そもそも、ことばを使う何らかの作業をしているとき、スペルや文字が頭に浮かぶ、ということが私には考えにくいのです。頭に浮かぶのはいつも音です。それを必要に応じて声に出したり文字に変換して表記したりしています。楽器を弾く(私にとっては「楽器でしゃべる」という方が感覚に合うのですが)ときに楽譜を思い浮かべることはありえず、頭に浮かんだ音をそのまま楽器で鳴らすのと同じことです。
以上のようなことを考えてみました。人間の感覚って面白いですね。
ちなみに、アルファベットで表記された英語の単語を日本語の文章に混在させるためには、一工夫しています。ことえり(Macの漢字変換)のユーザー辞書に、スペルをそのままタイプしたときの表記を「読み」として、当該英単語を登録しています。たとえば、
・読み「まc」:単語「Mac」
・読み「あぺrつれ」:単語「Aperture」
・読み「いぷぉと」:単語「iPhoto」
・読み「いつねs」:単語「iTunes」
アルファベット表記のまま日本語の文章に混在させる頻度の高い単語をこのように登録しておけば、いちいちモードを切り替える必要がないし、「英字に変換」という通常の変換と異なる操作をする必要もありません。
─────────────────────────
以上、shioが大井さんにお送りしたメールです。
みなさんは、タイピングするとき、何を思い浮かべますか。それとも、何も思い浮かべませんか。人それぞれやり方が異なると思いますが、こういうことって普段あまり意識的に考えることがないので、考えてみると面白いですね。