745-061025 カンボジア人に会った
今日、久しぶりにちょっとだけクメール語(カンボジア語)でしゃべりました。
いつも学校で掃除をしてくださっているDさん、もしかしたらカンボジア人じゃないかなぁと思いつつ、すれ違うときはいつもshioが急いでいるときなのであいさつしかしていなかったのですが、今日、shioが廊下に座り込んでMacで作業をしていたら話しかけてきてくださったのです。話していたら、彼はカンボジア人とのこと。やっぱり!! shioがすかさずクメール語であいさつすると、彼はビーーックリして、すごーく喜んでいました。
それから3分くらいの間に彼の歴史を聞きました。凄まじい。歴史の生き証人です。ポルポト派から竹で打たれるなどの拷問を受け、すきを見て逃げ出したもののたくさんの銃撃のあい、命からがら逃げ延びて、10日と10晩、腫れ上がる足と裸同然で走り続け、ようやくタイへの国境を越えたものの、タイでもポルポトの一味と疑われ……。
ポルポト派は、知的な人を皆殺しにしようとしていましたから、Dさんが殺されそうになったということは彼は何らかの知的なバックグラウンドを持っている証し。実際彼はアメリカに来てから、とある有名企業で働いていたこともあるそうです。「いまはこんな仕事をしているけど、生きていけるからこれでいい。」という彼のことばは重い。
shioは過去4回、カンボジアへ行っています。最初の2回は90年代。孤児院や小学校に鉄棒やブランコなどの遊具を建築するヴォランティア(ヴォランティアとは、学ばせていただくことです)。3回目(2002年)と4回目(2004年)は講義。王立カンボジア経済法科大学で、大学院生に「ネットワーク社会と法」、学部学生に「知的財産権法」、全体に「民法」の講義をしてきました。講義をクメール語でしたわけではないですが、冒頭の自己紹介とか通訳の人のプロフィール紹介くらいはクメール語で行います。相手の言語や文化に対する敬意を表したいからです。また、ヴォイオリンも持参して、孤児院、小学校、街角、自分の講義の休み時間、レストランなどで、たくさんの人に聞いていただきました。もちろん写真もたくさん撮っています。
そんなわけで、ポルポト派が残虐な拷問と大量虐殺をした現場もなんどか訪ねたことがあるし、山のような頭蓋骨も目の当たりにしているので、あのおぞましい光景とにおい、あの場所が持つえも言われぬ雰囲気は、深く脳裏に焼き付いています。Dさんは、あの中をかいくぐって生き延びたひとりなのです。彼は今でも、悪夢にうなされると言っていました。
ポルポト派が去った後、憔悴しきった国民は、国連や多くの人々の力を借りながら、国を復興しました。陽気でシャイで、柔和であたたかい人々です。そんなカンボジアの人々がshioは好きです。
Dさんと別れた後、一仕事してから、廊下でS先生と立ち話をしていたら、またDさんが通りかかりました。彼はこうして一日中、あちこちきれいにして回っているのです。Dさんはshioたちを見つけると近づいて来て、S先生に向かって言いました。
“He knows my language!!”
すごくうれしそうでした。さっき彼は「みんな私のことをフィリピン人かってきくんだ」と笑いながら言っていましたから、流れ着いたアメリカで日本人からいきなり、ほとんど耳にすることのない自分の母語で話しかけられて、心底うれしかったのでしょう。
彼は別れ際に、うーんと考えてから、「さよなら」と言ってくれました。
その気持ち。相手の言語や文化を尊重する気持ち。
shioも、「リーハイ。チュムリアップリーア。」と応じました。
あぁ、ことばって本当に大切だなぁと、じんわり熱い気持ちになり、自分にできることをやっていこうと思いを新たにするshioでした。
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Comments
大学の先生には失礼かと思いますが、いい文章ですね。Dさんが母国語を聞いた時の嬉しさが、おそらくぼくの想像を超えているのでしょうが、伝わってきます。
Posted by: keizo | 2006.11.24 at 23:01