603:060127 マネ Changes Everything
みなさまお久しぶりです。
今週は盛りだくさんでした!!
大学が第1週だったこともさることながら,今週いただいた名刺が1cm以上。たくさんの方々にお会いしました。そんな盛りだくさんなときこそshiologyに書きたいことは山のようにあるのですが,反比例して時間はありませんでした。
26日木曜日。
朝,6:30に起きてスバルへ。前々から予約してあったオイル交換。サービスは7:30からやっているのです。ありがたい!! 8:40頃終了。オイルとエレメントを交換し,各種点検をしていただいて50ドルでした。すぐに大学に行って講義に出席。春学期はとても面白い講義がひとつあります。楽しめそうです。
スタンフォード大学のAsia-Pacific Research Center(APARC)で橋本龍太郎元総理の講演会。お目にかかるのは慶應でご講演をされたとき以来。お元気そうでした。優しく笑う目が印象的です。そのあとレセプションに出て,APARCの方々と語りました。夜中に帰宅し,月刊アスキーの連載3月号の原稿を仕上げました。そういえば2月号がすでに18日に発売になっていますね。shioのところには昨日届きました。「「iPod課金」の不合理性」について書いておりますのでご興味があればご覧ください。133ページです。
さて3月号の原稿を午前2:30ころ送信しようとしたら,その直前にMacPeopleの編集者から原稿のご依頼。こちらはOmniGraffleのマインドマップ的利用法について書いて欲しいとのこと。MacPeople4月号(2月末発売)です。締め切りはまだ先でしたが,勢いでそれも書いてしまいました。アスキーの原稿は法律問題なので,必ず何日か考えてから書くのですが,Mac関連の原稿は考える必要がないのですぐ書けます。原稿依頼メールに対する承諾メールを3:40頃,送りました。完成原稿を添付して。 (^_^)
水曜日(25日)。
本を大量購入。8冊買って418ドル。うーむ,お金がかかります。Stanford Book Storeのレジの人も,そのトータル金額を見て「マジ!?」っていう反応をしていました。なにせ1冊150ドルなんていう本も含まれていたので。さて,問題はどれだけ読むかですが……。
夜は福岡県のパーティーに参加させていただきました。さまざまな面白い方々とお話。California Castingにフィードバックをくださった佐田さんと初めてお目にかかりました。shiologyを隅から隅まで読んでいただいていて,shiologyで取り上げているたくさんのトピックを次々と話題にしてくださいました。いやー,本当にうれしいです。いつもお読みいただいてどうもありがとうございます。
そこで知り合ったウェブデザイナーのarikoさん。
GR Digital・無修正。
【マネ Changes Everything】
shioが佐田さんに語った最も大切なこと。
創造のための技術はシェアするもの。技術を独り占めするのではなくて,同じ技術を多くの人で共有しあった上で,それをつかって何をクリエイトするかが大切。同じ技術を使っていても,それぞれの人がその個性に基づいて,異なるものを創造するはず。それが社会を文化的に豊かにします。人の心を豊かにします。歓喜と感動を喚起します。創造のための技術は独占するものではありません。シェアすべきものです。だからshioは,shioの写真の撮り方やMacの使い方など,あらゆる「shio流」についてshiologyで公開しています。shioの写真を見て,shioのやり方を見て,もし魅力を感じてくださるのであれば,どうぞマネしてください。そしてshioと違うご自身の心を表現してください。同じテクニックを使っても,人によって表現されるものは異なるはずです。それが素晴らしいのです。
よく「技術は盗むもの」といいますが,そこには「技術とは盗まれないように秘匿するもの」という前提があります。shioに「テクニックを盗ませていただきます」とおっしゃる方がいるけれども,shioはテクニックを独り占めしようとは全く思っていないので,「盗む必要ないです。どうぞ,どうぞ,さしあげます。どんどん使ってください。」ということになります。だって,技術はどんなに人にあげたって減らないですから。技術をどんどんシェアすることで,人々がもっとクリエイティヴになるのは,とってもステキなことだと思うのです。同じテクニックを使って別の人がshioと異なるものを創りだしてゆくのはとってもステキなことだと思うのです。
昔,Cyndi Lauperが「Money Changes Everything」と歌ってました。shioには「マネ Changes Everything」という素晴らしいフレーズに聞こえます。マネがすべてを変える。マネすることですべてが変わる。何事もマネから始まり,マネをしているうちにやがて独自性や個性が出て来てその人らしい表現が生み出される。多くの人がそれを繰り返すことによってその社会は文化的に豊かな社会になる。そんなshioの思いを端的に表すフレーズだと思うのです。
とかく特許法は技術を独占するための制度だと考えられます。でもその一方で,特許制度は技術を公開するための制度です。技術をシェアするための制度です。発明を出願して1年半経ったらその技術は公開されるのです(64条)。技術を公開することによって更なる技術の発達を促すための制度が特許制度です。出願した人には公開の代償として特許権が認められます。これは確かに「その技術を排他的絶対的に独占する権利」です。けれども特許権者は他人にその技術をライセンスして使ってもらうことができます(77条,78条)。ライセンシー(ライセンスを受けた人)がその技術を使い,新たな製品を作って市場に出し,得られた経済的利益を特許権者に還元します。技術がシェアされることにより,社会の技術水準が向上します。それによってまた誰かがより進んだ技術を開発します。とてもステキな循環です。ここにおいて特許権は「技術を排他的絶対的に独占する権利」ではなく,「技術から得られる経済的利益を排他的絶対的に独占する権利」と考えることになります。技術はシェアする,その代わりその技術から得られる経済的利益は独占する。それが特許制度の趣旨なのではないかと思うのです。
特許法1条は特許法の目的について,「この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。」と規定しています。ちゃんと「保護」と「利用」を図ろうとしているのです。技術は利用されなければ価値はありません。どうしたら「産業の発達」にプラスになるのか,を考えることが大切だと思います。
IBMは2005年1月に,保有するソフトウェアパテント500件をオープンソース開発者に無償提供しました(IBMのプレスリリース)。Sunも1600件の特許について同じようなことをしています。その真意にはさまざまな思惑があるとしても,基本的にこの方向は歓迎すべきことです。知的財産を囲い込み,独り占めするための「知的財産の保護」一辺倒ではなく,知的財産が有用なものとして積極的に利用され,社会に還元されてゆくような知的財産政策であって欲しいと思います。
お互いにマネをしあえる社会でありたい,テクニックをシェアして,そのうえで各々異なるものをクリエイトしていく社会でありたい。そんな創造的な社会でありたいとshioは願っております。
【逆光写真】
前回,「写真は逆光」と書いたところ,オンライン,オフラインで,いろいろと反応をいただきました。どうもありがとうございました。
「完全逆光写真」を撮ってみました。
GR Digital・無修正。
この写真を撮影した周囲の状況はこんな感じ。
GR Digital・無修正。
そして,この写真の右端に写っているお花(magnoliaというそうです。Google imageで確認。あ,ホントだ。eikoさんありがとうございます。と書いたらKayさんが「モクレン」ですよと教えてくださいました。magnoliaは白い花の方で,モクレンはtulip treeと呼ばれているそうです。Kayさん,どうもありがとうございます。shioはお花の名前が全然わからないので,これからも何か気づいた方はどうぞご教示ください。)の近くで撮影したのが次の写真。
GR Digital・無修正。星条旗が掲げられているポールに陽が当たって輝いている之図。
GR Digital・無修正。ロースクールの中。縦位置写真(縦長写真という意味)なんだけど,なんとなく横長に感じられませんか。面白いですね。
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Comments
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はじめまして。いつもながら、拝読していて嬉しい気持ちにさせられるエントリだったのですが、ただひとつ気になったのでコメントしてみます。
シェアできるのは、アイデアや成果物であって、技術ではないのではないかと思いました。技術というのは、個人の身体への帰属度が強い印象を受けます("技能"というのに比べると、"技術"の方に、より交換可能な要素を感じますけれども。)
ちょっと、専門的な用語のことはわからないので、見当違いだったら申し訳ないのですが。
Posted by: yamaken | 2006.01.30 16:00
yamakenさま,
コメント,どうもありがとうございました。
おっしゃるとおり,特許制度で公開するのは,「自然法則を利用した技術的思想の創作」つまり「技術的なアイディア」です。アイディアをシェアするのが特許制度です。また技術というものがyamakenさんのおっしゃる「個人の身体への帰属度が強い」ものであることも全く同感です。
このエントリーでshioは,前半は,技術,テクニックをシェアしようと書きました。AさんのアイディアをBさんがシェアしたって,Aさんと同じことはできるようになりません。でも実際の技術をシェアすれば,Aさんと同じようなことを,Bさんも自分のコンテクストの中で実践することができます。たとえば,
http://shiology.com/shiology/2006/01/600060119_eos_9e47.html
にあるように,izumoi_Aさんに回し撮りのやり方を目の前でやって見せながら説明したことによって,「カメラを回しながら撮る」というアイディアだけでなく,それを実践する技術がシェアされ,その結果,かれは彼自身の表現として回し撮りで写真を撮ることができました。本エントリーで私がお伝えしたかったのはこの点です。shio個人に帰属している技術を他の人とシェアして一緒に楽しみましょうよ,ということです。
後半,特許制度に話を移しました。そこで「技術的アイディアを」と書くよりも,アイディアも含めた広い意味で「技術」と書いた方が,理解されやすいのではないかと思った次第です。技術的なアイディアは,それが実施されて初めて現実の価値を持ちます。しかしその実施にあたっては,明細書の請求項に書かれた技術的アイディア以外に,さまざまな技術やノウハウを必要とします。でもその部分はなかなか表に現れない。
実は,アイディアよりも成果物よりも,技術をシェアするのがもっとも難しいのではないかと思うのです。まさにおっしゃるとおり「個人の身体への帰属度が強い」からです。だからこそ,独り占めしないでどんどんシェアしようよ,と。そんなことを考えております。ブログなのでタームをゆるめに使っていることを,お許しください。
またお気づきの点があれば,ぜひご教示くださいませ。
どうもありがとうございました。
Posted by: shio | 2006.02.06 16:05