560:051121 あいづちと受容感
【あいづちと受容感】
8〜10時:レッシグ先生のクラスに出席。
10〜11時:図書館で仕事をしつつeとチャット。eと話していて,あるいはチャットしていていつも思うのは,彼女は相手の発言に対する反応・返答がとてもスマートだということ。
返答のしかたは基本的に三段階
第一段階:あいづち。相手の話に対して「うん,うん」とか「なるほど」と相づちを打つ。うなづくのも大切。
第二段階:相手の発言を繰り返す。たとえば,悩みを打ち明けている人が「そのとき,すごく苦しかったんです。」と言う場合に,それに対して「そうですか,苦しかったんですか……」とか,「それは苦しかったでしょう」などと答える。
第三段階:同じ内容を別のことばで言い換える。たとえば同じ例で,「胸がつぶれるような思いだったことでしょう」など。すると相手は,「そう,そう,そうなんです」となります。
これらの反応を示すことによって,相手は,自分が理解されているという受容感を得ます。この人は私をわかってくれているんだという安心感です。そしてそれはさらに相手の自己肯定感につながります。自分が発言している事実とか自分の存在自体が肯定され,自分に自信を持つのです。相手の話を聞くとき,相手の発言に対してこの3段階の返答を使い分けながら反応を示すことが,円滑な会話の基本です。3段階のうち,どれを使うかは相手の需要によって定まります。軽い受容感で十分か,深く受け止めて欲しいのか。それを見分ける必要があります。また,相手の知的レベルによっても使い分ける必要があります。たとえば,幼児に対して第三段階を多用しても,その返答自体をその幼児が理解できなければ,意味をなしません。
eと会話をすると,とてもエレガントな第三段階の返答にたびたび遭遇します。それが自然にできる彼女。すてきです。
ちなみに,実はこの先には第四段階があります。それを多用するのはA先生。第四段階とは,相手の発言に対して,一歩進んだ内容を返すことです。上の例だと,「広い海でも見に行くといいかもしれませんよ。」とか。このような返答はそれを期待している相手にのみ有効です。また多くの場合人は多かれ少なかれ受容感を求めているため,「相手を受容する」という範囲を超えるこの第四段階を使うのは,会話の熟度が高まってからにすべきでしょう。
さらに,このラインに乗らない派生的な返答もあります。
たとえば,上の例に対して,「息吸うの,忘れてなかった?」とか。コンテクストをちょっとずらすんです。相手との関係によっては非常に功を奏する場合もあり,上手くはまれば,一緒に笑うことができます。でも,相手が求めるのが笑いによる解放ではない場合には,逆効果になる可能性が高いです。一方,上記のような「悩み打ち明け」シチュエーションではなくて,もっと普通の会話であれば,この「ずらし」は重宝です。そしてコメディアンや漫才のような話術は,この「ずらし方」の方向性によって人を笑わせているんですね。「ずらし方」の方向は多様ですが,もっともポピュラーでウケやすいのは,「数分前の話題への連携」です。タモリさん,さんまさんはそれが非常に上手い。奥が深いです。
【Center for Internet and Societyのミーティングランチ】
今日のランチは,shioが所属するCenter for Internet and Societyのミーティングでした。スタンフォード大学のFaculty Clubにて。
魅力的な人の集まりです。そのとき,友人の David から教えてもらったサイトがこれ。University of California, Santa BarbaraのCylinder Preservation and Digitization Profect。エジソンが発明した円筒型レコードで録音された音楽をデジタル化してアーカイブするプロジェクトです。たくさんのMP3ファイルが公開されています。
Thank you David for sharing this great archive!!
とりあえずshioは,ここにあるファイルをすべてiTunesに入れて,いまiPodで聴いております。iPodが100年前にタイムスリップさせてくれますよ。うーん,いい感じ。
ちなみにDavidは,すごく面白い人です。たとえば,彼のbioの最後が彼らしくて楽しい。
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» 051124 あいづちと受容感 from shiology [あいらぶしょうがっこう since 2005]
いつもためになる情報を発信してくれているshioさん(shiology)が、今回わたしがいつも思い悩んでいる「コミュニケーション」についてご自分の経験をもとに分かりやすく書かれている。
■あいづちと受容感
いずれも思うのは、自己中心ではなく相手を思いやって話ができるかということなのだろう。
思いやる心がないとこういう会話ができるようにならないのかはわからない。
しかし、私の尊敬する有田和正先生はご自分の著書や講演でよく話される。
楽しいから笑うのではありません。笑うから楽しくな... [Read More]
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「あいづちと受容感」興味深いですね。
最近、日本企業でも出社拒否や鬱病などの症状のある人が多く深刻な社会問題になりつつあるそうです。
そういう人たちへの対応などこのような「あいづち」を基本とした相談に乗るやり方がたいへん効果的だそうです。
受け入れてあげる理解しているという姿勢が相手に安心感を与えるのでしょう。
「がんばれ」などただ元気付けるやり方は逆効果だったりするそうです。
Posted by: dion | 2005.11.23 14:54