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2004.11.20

226:041119 写真と教育の共通点

10時から研究室にて作業。

14時から恵比寿にある東京都写真美術館で行われている「マリオ・テスティーノ写真展 ポートレート」へ。著名人の写真の数々。その力強さに圧倒されました。それぞれの写真に映し出されている人々が、すべて「その人らしい」のです。その人らしさを引き出す。これこそ、この写真家に対する引き合いの強さの源泉だと思いました。

写真と教育の共通点。
それは「その人の魅力を引き出すこと」。
「教育」って「教え育てる」と書くけれど、shioは「教育とは教えないこと」だと信じている。だから「教え育てる」ではなく、あえてこの文字を使うなら「教えず育てる」ということになります。

では「教えずに育てる」とは何をすることか。
educationの語源、ラテン語のeducatusは、「外へ導き出す」の意。つまり「引き出す」ことがeducationなのです。その人が持っているポテンシャルを引き出す、魅力を引き出す、その人らしさを引き出す。それがeducation。「教える」などという押しつけはeducationにはそぐわないのです。

写真も同じ。被写体の魅力を引き出すのです。その人の魅力、その物の魅力、その景色の魅力、その風景の魅力。それらをいかに引き出すか。それが写真の醍醐味だと思っています。

では、教育でも写真でも、その「引き出す」プロセスで最も重要なことは何か。それは相手(被写体)とのコミュニケーションだと思います。コミュニケートすることによってその人の魅力を引き出す。被写体たる人や物の魅力を引き出す。相手が人であったらコミュニケートするのが当然。物とだってもちろんコミュニケートする。このコミュニケーションこそ、教育の神髄、写真のエッセンスだとshioは考えています。

さて写真美術館を後にしたshioは、恵比寿駅の中にあるさぬきうどんに舌鼓。恵比寿に来ると必ず食べます。shioのお気に入りは、温玉ぶっかけの冷たいの。おいしい!!

電車を乗り継いで東京国立近代美術館へ。木村伊兵衛展を見るため。12月19日まで開催されていますが、今日は特別な日。curatorの増田玲さんによるフライデートーク「木村伊兵衛の“現代性”について」が行われるのです。近代美術館で唯一の写真専門のcuratorでいらっしゃるので、是非ともそのお話を聞かせていただきたいと思ったのです。

まず時代を追って木村さんの作品を見る。そのあとフライデートークを聞く。なるほど。解説していただいたことによって、木村伊兵衛さんが「報道写真」にこだわっていたことがよく理解できました。そして自分で見ているときには気づかないような細部にわたる視点を与えてくださったため、フライデートーク終了後に再度すべての写真を見直すことによって、より深く写真を観察することができました。

「現代性」については、トークを最後まで聞いたらその意味がわかりました。木村伊兵衛さんの写真の日常性、非イベント性、非テーマ性といった点が、今日では特別の存在ではなくなったカメラによって撮影行為が日常化している現代と相通ずる、といった趣旨だと理解しました。(もし違っていたら増田さんに申し訳ないですが、とりあえずshioの理解したことを書かせていただきました。)非常に納得。それと同時に、「写真にはテーマ性が必要」との論調に対して必ずしもテーマがなくてもいいのではないかと考えてきたshioにとって、「テーマのない写真も写真」という肯定的なメッセージを聞けたことが大きな収穫でした。

「写真にはテーマ性が必要」という考え方の基底にあるのは、写真とは、撮影者の側のメッセージを伝える手段であるというコンセプトなのでしょう。一方、「テーマ性がない写真」を肯定する考え方の基底にあるのは、写真のメッセージは被写体の側にある、ということのように思いました。

さてshioは何を考えて写真を撮っているか。
shioの写真に対する基本的スタンスは、被写体とのコミュニケーションです。被写体とコミュニケートして、そのコミュニケーションを撮るのです。shioの存在は被写体の中に映っています。それがすごく楽しい。だから物を撮るよりも人を撮る方が好きなのです。そしてもしshioの写真にメッセージがあるとすれば、それは被写体とのコミュニケーションの中にあります。

木村伊兵衛さんが撮ったポートレートは、その多くが無表情で、視線がカメラ以外を向いています。一方、マリオ・テスティーノさんの撮るポートレートは、ほぼすべてカメラ目線。そうでないものも明らかにコミュニケーションの存在がわかる表情。やっぱりshioは、後者の方が好きです。
主観と客観。そのどちらでもなく、主観と客観との交錯にshioは魅力を感じます。

木村伊兵衛さんの作品の中で、shioがもっとも好きな写真は、蓮の写真。絵として非常に美しい。白黒の味を縦横に使った傑作だと感じました。そして蓮に対する情も感じられる。美しい。

今日は写真や絵画を見ながら、これ以外にも、著作権法 etc. についていろいろと考えました。豊かな一日でした。Wさん、Sさん、そしてYに感謝!!

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